メンターの話を鵜呑みにしてはいけない理由

起業を考え始めた大学生にとって、「メンターの存在」はとても魅力的に映ります。
すでに結果を出している人、成功体験を語れる人、的確なアドバイスをくれる人。
「この人についていけば間違いない」
そう思いたくなる気持ちは、とても自然なものです。

しかし、起業の現場では
「良いメンターを持つこと」と「メンターの話を鵜呑みにすること」は、まったく別物
です。

むしろ、大学生起業で失敗する人の多くは
「変なメンターに出会った」よりも
「メンターの言葉を考えずに信じてしまった」
ことが原因で遠回りをしています。

この章では、メンターを否定するのではなく、
正しく距離を取り、賢く活用するための考え方
をお伝えします。


① メンターの成功体験は「再現性」が低い

まず理解しておくべきなのは、
メンターの成功体験は、その人専用のケースであることが多い
という事実です。

・始めた時代
・業界の状況
・人脈
・資金力
・性格

これらが少し違うだけで、同じ行動をしても結果は変わります。

メンターが
「自分はこれで成功した」
と言うのは事実かもしれません。
しかしそれが
「あなたも同じように成功する」
とは限りません。

成功談は参考にはなりますが、
答えではない
という前提を持たないと、簡単に思考停止します。


② メンターは「正解」を知っているわけではない

多くの大学生が誤解しているのが、
「メンター=正解を知っている人」
という認識です。

実際には、起業において
・絶対の正解
・誰にでも通用する方法
は存在しません。

メンターも
・仮説を立て
・試し
・失敗し
・たまたま当たった
というプロセスを経ています。

つまり、メンターのアドバイスは
「その人なりの仮説」
であって、未来を保証するものではありません。

それを
「成功者が言っているから正しい」
と受け取ってしまうと、自分で考える力が育たなくなります。


③ メンターの「立場」がズレていることが多い

もう一つ重要なのが、
メンターと大学生では立場がまったく違う
という点です。

・すでに実績がある
・失敗しても生活に余裕がある
・人脈や信用がある

こうした前提で出されるアドバイスは、
資金も信用も経験もない大学生には、リスクが高すぎる場合があります。

例えば
「最初は無料でやればいい」
「まずは人脈を広げろ」
「とにかく動け」

これ自体は間違っていません。
しかし
・どこまで無料でやるのか
・どんな人脈が必要なのか
・何を目的に動くのか
を考えずに実行すると、時間だけが消えます。


④ メンターの言葉が「依存」を生む瞬間

特に注意したいのが、
メンターの存在が「安心材料」になってしまうケース
です。

・自分で決断できない
・何かあるたびに意見を求める
・言われた通りに動くだけ

この状態になると、
起業家ではなく「指示待ち」になります。

起業とは
最終的に、すべての責任を自分で取る行為
です。

メンターは責任を取ってくれません。
失敗しても
「そういうこともあるよ」
で終わります。

だからこそ
決断の主体は、常に自分
でなければなりません。


⑤ 「相手が正しいか」ではなく「今の自分に合うか」

メンターの話を聞くときに重要なのは、
「この人は正しいか?」
ではありません。

本当に考えるべきなのは
「この考え方は、今の自分に合っているか?」
です。

・今の自分の資金
・時間
・スキル
・性格

これらと合わないアドバイスは、
どれだけ正論でも採用すべきではありません。

起業初期は
「正しさ」より「継続できるか」
のほうが圧倒的に重要です。


⑥ 良いメンターほど「考えさせる」

ここで一つ、大切な視点を伝えます。

本当に良いメンターは、答えを即答しません。

・どう思う?
・なぜそう考えた?
・他の選択肢は?

こうした問いを投げかけ、
自分で考える時間を与えてくれます。

一方で
・これをやれ
・それはダメ
・俺の言う通りにしろ
というメンターは、短期的には楽ですが、長期的には危険です。

起業は
思考力の競技
です。

考える力を奪われる環境に、成長はありません。


⑦ メンターは「複数持つ」という考え方

大学生起業でおすすめなのは、
1人のメンターを絶対視しないこと
です。

・ビジネス面で参考になる人
・メンタル面で支えになる人
・実務を教えてくれる人

役割を分けて考えることで、
偏った価値観に染まりにくくなります。

そして最終的に決めるのは
自分自身
です。


まとめ:メンターは「地図」、歩くのは自分

メンターの存在は、起業において非常に有益です。
しかしそれは
地図を持つこと
に過ぎません。

どの道を選び
どこで立ち止まり
どこで引き返すか
を決めるのは、あなたです。

メンターの話を
・疑え
・否定しろ
という意味ではありません。

「考えた上で使え」
ということです。

自分の頭で考え、選び、責任を取る。
それができたとき、メンターの言葉は
「依存の材料」ではなく
「成長のヒント」
になります。

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Author of this article

大学生の頃の自分は、「いつか何かやりたいな」と思いながらも、何をすればいいか分からず、正直モヤモヤしていました。そんなある日、地元の喫茶店でたまたま車屋の社長と出会ったことが、人生のきっかけになります。
「自分もやってみよう」と思い、21歳のときに車の仕入れと販売をスタート。実家の自分の部屋に電話線を引き、名刺を作り、今思えばかなり手探りで“起業っぽいこと”を始めました。
就活はせずに学生のまま起業を目指しましたが、現実はうまくいかず、卒業後はいったんフリーターに。それでも起業への気持ちは消えず、社会経験を積もうと広告代理店に就職しました。そこで学んだことを活かし、26歳で独立。広告代理店を立ち上げ、今は40代となり会社を経営しています。
このガイドは、昔の自分のように「何かしたいけど分からないことばかり」の学生に向けて作りました。完璧じゃなくていい。一歩踏み出すためのヒントを、ここで伝えていけたらと思っています。

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