大学生起業を考え始めると、
多くの人が一つの分かりやすい目標を置いてしまいます。
それが、
「まずは会社を作ること」
「法人を設立できたら、起業したと言える」
「会社を持つのが起業のゴール」
という考え方です。
実際、SNSやネットを見ていると、
・「◯歳で会社設立!」
・「大学生起業家として法人化しました」
といった投稿が目立ち、
会社設立そのものが「成果」や「成功」のように見えてしまいます。
ですが、結論からはっきり言います。
会社設立をゴールにしてしまうと、起業はほぼ確実に失速します。
それは精神論ではなく、
起業の構造上、とても現実的な理由があります。
会社設立は「スタートの準備」であって「成果」ではない
まず大前提として、
会社設立とは何なのかを整理しましょう。
会社設立とは、
・売上が立った証明
・価値を生んだ証明
・お客さんに選ばれた証明
ではありません。
あくまで、
「事業を法人という箱に入れただけ」
の状態です。
極端な話、
・売上ゼロ
・顧客ゼロ
・実績ゼロ
でも、会社は誰でも作れます。
つまり、
会社設立自体には「市場からの評価」が一切含まれていません。
なぜ会社設立をゴールにしてしまうのか
大学生が会社設立をゴールにしてしまう理由は、主に3つあります。
① 分かりやすい達成目標だから
・書類を出せば終わる
・日付がはっきりしている
・周りに説明しやすい
会社設立は、
努力の結果が「目に見える形」になるため、
ゴールとして設定しやすいのです。
② 起業している実感が欲しいから
・個人だと中途半端に感じる
・法人だと「本気」に見える
この感覚も、とても自然です。
ですが、
実感と実力は別物です。
③ 不安から目をそらせるから
本当は、
・売れるか分からない
・需要があるか分からない
・続けられるか分からない
こうした不安に向き合うのが怖い。
その代わりに、
「とりあえず会社を作る」
という行動に逃げてしまうケースも少なくありません。
ゴールを「会社設立」にすると何が起きるか
会社設立をゴールにしてしまうと、
次のような問題が起こりやすくなります。
問題① 設立した瞬間に目的を失う
会社を作ることが目的だった場合、
設立が終わった瞬間に、こうなります。
「で、次は何をすればいいんだろう?」
・やるべきことが急に見えなくなる
・モチベーションが下がる
・行動が止まる
これは珍しい話ではありません。
ゴールを通過点にしてしまった結果、
次の目標が空白になるのです。
問題② 中身より「形」を整えることに時間を使う
会社設立をゴールにすると、
・ロゴを作る
・名刺を作る
・HPを作る
・肩書きを整える
といった、
見た目を整える作業に時間を使いがちになります。
ですが、起業初期に本当に必要なのは、
・売れるかどうか
・お金を払ってくれる人がいるか
・価値を感じてもらえるか
という、中身の検証です。
形を整えても、
中身がなければ事業は進みません。
問題③ 撤退や方向転換が難しくなる
会社を作ると、
「ここまでやったんだから」
「会社まで作ったのに」
という心理が働きます。
その結果、
・うまくいっていないのに続けてしまう
・本当は変えたいのに変えられない
・やめ時を逃す
という状態に陥りやすくなります。
大学生起業にとって最も大切な
柔軟さが失われてしまうのです。
問題④ お金と手続きの負担が一気に増える
会社を作ると、
・税務
・会計
・社会的責任
・各種手続き
が一気に増えます。
売上がまだ不安定な段階でこれを背負うと、
・やる気より不安が勝つ
・事業そのものに集中できない
という状態になりがちです。
会社設立は、
事業を加速させる道具であって、
足かせになるべきではありません。
本当のゴールは「価値が循環する状態」
では、起業における本当のゴールは何でしょうか。
それは、
・誰かの役に立ち
・その対価としてお金が生まれ
・それが継続して回っている
という状態です。
つまり、
「価値が循環していること」
これが起業の本質です。
会社は、
その循環をスムーズにするための箱にすぎません。
会社設立は「ゴール」ではなく「手段」
ここまでの話をまとめると、
・会社設立=成功
ではなく
・会社設立=選択肢の一つ
です。
事業が成長し、
・取引が増え
・人が関わり
・責任が広がる
そのタイミングで、
「法人の方が都合がいい」
と判断したときに作るものです。
大学生起業における正しいゴール設定
大学生が起業を考えるとき、
ゴールは次のように設定するのが現実的です。
・誰かに価値を提供できたか
・お金を払ってもらえたか
・続けたい形が見えたか
この3つが揃えば、
起業としては大きな一歩です。
会社があるかどうかは、
その後の話です。
「会社を作ったのに、何も起きない」人の共通点
起業支援の現場では、
「会社は作ったけど、事業が進まない」
という大学生を何度も見てきました。
その共通点は、
・会社設立が目的になっていた
・売る経験がない
・市場に出ていない
という点です。
逆に、
・個人で売った経験がある
・小さく回した経験がある
大学生は、
法人化した瞬間に一気に伸びます。
会社設立をゴールにしないための考え方
会社設立を正しく位置づけるために、
次の考え方を持ってください。
・会社は「便利になったら作る」
・会社は「必要に迫られて作る」
・会社は「事業を守るために作る」
この順番を守る限り、
法人化は失敗しにくくなります。
まとめ:ゴールを間違えると、起業は苦しくなる
会社設立をゴールにしてしまうと、
・達成感だけで終わる
・中身が育たない
・柔軟性を失う
という結果になりやすくなります。
起業において大切なのは、
・価値を生むこと
・選ばれること
・続けられること
です。
会社は、そのための「道具」でしかありません。
大学生のあなたにとって本当に大切なのは、
「会社を持つこと」ではなく、
**「会社がなくても価値を生める状態になること」**です。
そこまで進めば、
会社設立は悩むテーマではなく、
自然に必要になる「次の一手」になります。
