大学生の起業について調べていると、必ず一度はこんな考えが頭をよぎります。
- 「補助金があるなら、起業しやすそう」
- 「自己資金がないから、まず補助金を探そう」
- 「補助金を取ってから動くのが賢いのでは?」
この発想自体は、決して珍しくありません。むしろ、真面目でリスクを減らしたい大学生ほど、自然にたどり着く考え方です。ただし、ここで一つはっきり言っておきます。
補助金ありきで起業すると、失敗する確率は一気に上がります。
これは根性論でも、精神論でもありません。構造的に、そうなりやすい理由があるのです。
この記事では、
- なぜ補助金ありきだと失敗しやすいのか
- 大学生起業で実際によく起こるズレ
- 補助金と正しく付き合うための考え方
を、書いていきますので是非お読み下さい。
補助金は「悪」ではない
最初に大事な前提を置きます。補助金そのものは、悪い制度ではありません。
- 上手く使えば、事業を加速できる
- 初期コストの負担を減らせる
- 大学生にとって貴重な支援になる
これは、事実です。問題なのは、「補助金があるから起業する」「補助金がないと起業できない」という順番で考えてしまうことです。
理由① 起業の目的が「お金をもらうこと」にすり替わる
補助金ありきで考え始めると、起業のスタート地点がズレます。本来、起業の出発点は、
- 誰の
- どんな困りごとを
- どう解決するか
のはずです。ところが、補助金ありきになると、
- どんな補助金があるか
- 何に使えるか
- どう書けば通るか
が、先に来てしまいます。その結果、
「補助金に合う事業」を後から作る
という逆転現象が起こります。これは、
- お客さんを見ずに
- 審査員だけを見て
事業を作るのと同じ状態です。
理由② 本来いらないものにお金を使いやすくなる
補助金がある前提で計画を立てると、
- 予算を使い切る前提
- 「せっかくだから使おう」という心理
が働きます。起業の現場では、実際にこんなことが起きます。
- まだ不要な高機能システムを作る
- 実証前に立派なWebサイトを作る
- 規模に合わない設備を導入する
これらはすべて、
「売上を生まない支出」
になりがちです。本来、起業初期で一番大事なのは、
- 早く試す
- 早く失敗する
- 早く修正する
ことです。補助金ありきだと、このスピード感が失われます。
理由③ 「補助金が入るまで動けない」状態になる
補助金は、
- 申請
- 審査
- 採択
- 交付
という流れがあり、時間がかなりかかります。補助金ありきで考えている人ほど、
- 「結果が出るまで待とう」
- 「通ってから始めよう」
と、行動を止めてしまう傾向があります。この数ヶ月の停滞は、
- 市場の変化
- モチベーション低下
- 学業・就活とのバッティング
など、取り返しがつかない差になることもあります。
理由④ 補助金が「生命線」になるとメンタルが不安定になる
補助金ありきの起業は、精神面にも大きな影響を与えます。
- 通れば天国
- 落ちたら終わり
という、一発勝負のメンタルになりやすいのです。実際には、
- 補助金は落ちることも普通
- 初回不採択は珍しくない
にもかかわらず、
「落ちた=自分が否定された」
と感じてしまい、起業そのものを諦めてしまう大学生もいます。
理由⑤ 補助金前提の事業は「自走力」が育たない
補助金ありきで設計された事業は、
- 自分で稼ぐ力
- 小さく回す感覚
が育ちにくくなります。なぜなら、
- お金は外から来るもの
- 自力で生み出す前提が弱い
状態で進むからです。結果として、
- 補助金が終わった途端に失速
- 次の資金がなくなって詰む
というケースは、決して少なくありません。
理由⑥ 審査に落ちたとき、すべてが崩れる
補助金ありきで起業を考えていると、
- 計画
- スケジュール
- 心構え
すべてが、「補助金が通る前提」で組まれています。そのため、
落ちた瞬間、代替プランが存在しない
という危険な状態になります。一方で、補助金をうまく使っている起業家は、
- 補助金がなくても進める
- もらえたら加速する
という設計を最初からしています。
補助金はどう考えるのが正解なのか?
答えは、とてもシンプルです。
「補助金は、すでに動いている事業を少し楽にする“後付けの選択肢”」
この位置づけが、最も安全で現実的です。
起業における「正しい順番」
失敗しにくい起業の順番は、こうです。
- 小さくでも動く
- 誰かに価値を提供する
- 売上・反応を得る
- 足りない部分を明確にする
- 必要なら補助金を検討する
この順番を守る限り、補助金は武器になります。逆に、
- 1が抜けている
- 最初に補助金を探している
場合、補助金は足かせになります。
大学生へのメッセージ
補助金ありきで起業しようとするのは、決して「甘え」ではありません。ただ、起業の本質からはズレやすいというだけです。起業で一番強いのは、
- お金をもらった人
- 制度を使えた人
ではなく、
「自分の力で、一度でも売上を作った人」
です。補助金は、
- 起業のスタート地点
- 成功の条件
ではありません。
「すでに走っている人を、少しだけ押してくれる存在」それが、補助金の正しい位置づけです。まずは、
- 小さく始める
- 自分の力で回す
その延長線上で、補助金を“使う側”になってください。お時間のある方は下記もお読み下さい。
