――経験が、直感を「確信」に変えるとき
起業初期は、ほぼ全員が人を見る目を持っていない
最初に断言しておきます。
起業を始めたばかりの人は、ほぼ例外なく「人を見る目」を持っていません。
これは能力不足でも、センスがないわけでもありません。
単純に「経験が足りない」だけです。
大学生時代までは、
・価値観が近い
・話が合う
・ノリがいい
・応援してくれそう
こうした基準で人と関わってきたはずです。
しかし、起業の世界ではこれらは判断材料としてほとんど役に立ちません。
起業初期の人は、「良い人そう」「熱量が高い」「すごいことを言っている」という表面的な情報で人を判断してしまいます。
そして、その判断は高確率で外れます。
人を見る目が未熟な時期に起こること
起業初期に人を見る目が未熟だと、次のような経験をします。
・口だけ達者な人に振り回される
・応援してくれると言っていた人が消える
・一緒にやろうと言った仲間が途中で離脱する
・実力があると思っていた人が何も動かない
この段階では、多くの人がこう思います。
「人に恵まれない」「見る目がなかった」と。
しかし実際には、誰もが通る通過点です。
この経験こそが、人を見る目を育てる材料になります。
「人を見る目」は知識では身につかない
本やSNSで、「こういう人に気をつけろ」「成功者は人をこう見る」といった情報は山ほどあります。
しかし、それを読んだだけで人を見る目が完成することはありません。
なぜなら、人を見る目とは、
裏切られた経験、期待を外された経験、助けられた経験の総体だからです。
・このタイプは言葉が先行する
・このタイプは行動が安定している
・この人は約束を守る
・この人は都合が悪くなると消える
これらは、実体験とセットになって初めて「使える判断基準」になります。
人を見る目が完成し始める前兆
起業を続けていると、ある時から変化が起きます。
・人の話を聞いても、すぐに判断しなくなる
・熱量より「行動の履歴」を見るようになる
・言葉より「過去の選択」を重視する
・違和感を無視しなくなる
この段階に入ると、人間関係のトラブルが明らかに減ります。
なぜなら、危険な人と深く関わる前に距離を取れるようになるからです。
これは才能ではありません。
失敗を重ねた結果、脳が自然と学習した状態です。
「人を見る目」が完成する決定的な瞬間
人を見る目が完成する瞬間は、ある一つの出来事をきっかけに訪れます。
それは、
**「期待していた人が、決定的な場面で動かなかった瞬間」**です。
・本当に困っているとき
・責任が発生したとき
・リスクが伴う判断が必要なとき
このタイミングで、人ははっきり分かれます。
・行動する人
・沈黙する人
・理由をつけて離れる人
この瞬間を経験すると、起業家は悟ります。
「人は、言葉ではなく“状況”で正体を現す」と。
ここで初めて、
・優しさ
・応援
・熱量
よりも、
一貫性・行動・覚悟を見るようになります。
人を見る目が完成すると、判断基準が変わる
人を見る目が完成した起業家は、次のような基準で人を見ます。
・小さな約束を守っているか
・不利な状況でも態度が変わらないか
・成果を誇るより、過程を語るか
・自分の責任を引き受けてきたか
ここで重要なのは、「すごい人」を探さなくなることです。
代わりに、「信頼できる人」を選ぶようになります。
この変化は、人間関係だけでなく、ビジネスの質そのものを引き上げます。
人を見る目が完成すると、孤独が減る
不思議なことに、人を見る目が完成すると、付き合う人数は減ります。
しかし、孤独は減ります。
・無理な関係を続けなくなる
・期待しすぎなくなる
・自分の判断を信じられるようになる
結果として、人間関係に振り回されなくなります。
起業初期の孤独は「誰を信じていいかわからない」不安から生まれます。
人を見る目が完成すると、その不安が消えます。
人を見る目が完成した人が絶対にやらないこと
この段階に到達した起業家は、共通して次のことをしません。
・初対面で過度に期待しない
・言葉だけで判断しない
・一度の失敗で人を切らない
・一度の成功で信用しない
極端な判断をしなくなるのです。
これは、数々の経験を経た人だけが持つ「安定した視点」です。
人を見る目は「完成して終わり」ではない
最後に大切なことを伝えます。
人を見る目は、一度完成して終わりではありません。
環境が変われば、人も変わります。
自分の立場が上がれば、寄ってくる人も変わります。
だからこそ、起業家は常に問い続けます。
「この人を信じる判断は、過去の経験に基づいているか?」と。
この姿勢こそが、人を見る目を“鈍らせない”最大の秘訣です。
まとめ:人を見る目は、起業を続けた人だけが手にする
起業で「人を見る目」が完成する瞬間は、
成功したときではありません。
・裏切られ
・期待を外され
・失望し
・それでも続けた
その先にあります。
人を見る目は、最短ルートでは手に入りません。
しかし、一度身につけば、起業人生の最大の武器になります。
だから、最初に人を見る目がなくても大丈夫です。
それは失敗するためではなく、成長するための前提条件なのです。
起業を続けた人だけが、この視点に辿り着きます。
そして、ここに辿り着いた人は、簡単には折れません。
