起業でコミュニティに依存しない理由

起業を考え始めた大学生が、最初に出会う言葉の一つが「コミュニティに入ったほうがいい」というアドバイスです。起業家コミュニティ、大学生起業サークル、オンラインサロン、勉強会、交流会。世の中には無数のコミュニティが存在し、「ここに入れば成功に近づける」「仲間がいれば安心だ」と語られています。

確かに、コミュニティにはメリットもあります。情報が集まりやすく、刺激を受けやすく、孤独を感じにくい。しかし一方で、起業初期にコミュニティへ依存しすぎることは、大きなリスクにもなり得るという事実は、あまり語られていません。

ここでは、なぜ起業において「コミュニティに依存しない姿勢」が重要なのかを、現実的な視点で解説します。


コミュニティは「安心感」を与えるが、「成果」を保証しない

多くの大学生がコミュニティに惹かれる最大の理由は「安心感」です。
同じ志を持つ仲間がいる。自分と同じように悩んでいる人がいる。経験者の話が聞ける。これは精神的にとても楽になります。

しかし、起業で本当に必要なのは「安心感」ではなく「成果」です。
売上が立つこと。顧客に価値を届けること。継続できるビジネスを作ること。

コミュニティにいるだけで、これらが自動的に手に入ることはありません。むしろ、安心感が強すぎると「行動しなくても前に進んでいる気分」になってしまい、実際の行動量が減っていくケースも多いのです。


行動より「共感」が評価される空間に慣れてしまう

コミュニティでは、行動よりも「共感」が評価されやすい傾向があります。

  • 頑張っているね
  • その気持ちわかるよ
  • 大変だったね

こうした言葉は心を癒しますが、ビジネスの現場では1円の売上も生みません

起業の世界は冷酷です。
どれだけ努力しても、どれだけ想いがあっても、価値を感じてもらえなければお金は動かない。この現実から目を逸らしてしまうと、「応援されているのに稼げない」という状態に陥ります。

コミュニティに長く居続けると、「共感される発言」や「場の空気を壊さない振る舞い」が無意識に身についてしまい、本来必要な「尖った行動」「失敗を恐れない挑戦」ができなくなることもあります。


コミュニティ内の常識は、世の中の非常識なことも多い

コミュニティには独自の価値観や常識が生まれます。

  • 起業家はこうあるべき
  • これは稼げない
  • それはやめたほうがいい

こうした意見が、いつの間にか「正解」として共有されていきます。しかし、その常識はあくまでコミュニティ内のローカルルールに過ぎません。

実際の市場では、コミュニティで否定されていたアイデアが大きく成功することもあれば、賞賛されていたビジネスモデルが全く売れないこともあります。

特に大学生起業の場合、まだ経験が少ない分、「周りが言っているから正しい」という思考に陥りやすい。これが続くと、自分で考える力が弱まり、判断基準を外部に委ねる癖がついてしまいます。


依存が進むと「抜けるのが怖くなる」

最も危険なのは、コミュニティに心理的に依存してしまうことです。

  • ここを抜けたら一人になる
  • 相談できる人がいなくなる
  • 情報が入らなくなる

こうした不安が強くなると、「自分に合わない」「成長を感じない」と思っていても、抜けられなくなります。これは起業家として非常に危険な状態です。

本来、起業家は「環境を選ぶ側」であるべきです。
自分のフェーズに合わなくなった環境からは、冷静に距離を取る判断力が求められます。コミュニティに依存すると、この判断力が鈍ります。


起業初期に最も大切なのは「自分で考え、動く力」

起業初期に鍛えるべき最大の能力は、「自走力」です。

  • 誰に言われなくても行動できる
  • 正解がなくても決断できる
  • 失敗しても修正できる

これらは、誰かに守られた環境では育ちにくい力です。
コミュニティは「教えてもらう場所」になりがちですが、起業は本来「試して、失敗して、学ぶ」連続です。

一人で考え、一人で動き、結果を見て改善する。このプロセスを経験することが、将来どんな環境に置かれても生き抜ける起業家を育てます。


コミュニティは「使うもの」であって「寄りかかるもの」ではない

ここまで読んで、「コミュニティは悪いものなのか?」と感じたかもしれません。結論から言うと、コミュニティ自体が悪いわけではありません

問題なのは「依存」です。

  • 情報収集のために参加する
  • 一時的な刺激を得るために活用する
  • 視野を広げるために話を聞く

こうした目的意識を持って関わる分には、コミュニティは非常に有効です。しかし、「ここにいれば安心」「ここにいれば成功できる」と思い始めた瞬間、成長は止まります。


本当に強い起業家は「一人でも立てる」

最終的に、起業家として長く生き残る人は、例外なく「一人でも立てる力」を持っています。孤独に耐え、判断を自分で下し、結果の責任を引き受ける覚悟がある人です。

コミュニティはその代わりにはなりません。
むしろ、一度「一人でやり切った経験」を持っている人ほど、コミュニティを健全に活用できます。

大学生がゼロから起業するなら、まずは「誰にも頼らず、小さく結果を出す経験」を積むこと。それが、将来どんな仲間や環境と出会っても、振り回されない自分を作ります。


まとめ:コミュニティよりも「自分の足」で立て

起業で最も怖いのは、失敗ではありません。
「自分で考えなくなること」「行動しなくなること」です。

コミュニティは便利です。しかし、依存すればするほど、起業家としての筋力は落ちていきます。だからこそ、最初はあえて距離を取り、自分の頭と足で動く時間を大切にしてください。

孤独は成長のサインです。
不安は挑戦している証拠です。

コミュニティに依存しない選択は、遠回りに見えて、実は最も確実な近道なのです。

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Author of this article

大学生の頃の自分は、「いつか何かやりたいな」と思いながらも、何をすればいいか分からず、正直モヤモヤしていました。そんなある日、地元の喫茶店でたまたま車屋の社長と出会ったことが、人生のきっかけになります。
「自分もやってみよう」と思い、21歳のときに車の仕入れと販売をスタート。実家の自分の部屋に電話線を引き、名刺を作り、今思えばかなり手探りで“起業っぽいこと”を始めました。
就活はせずに学生のまま起業を目指しましたが、現実はうまくいかず、卒業後はいったんフリーターに。それでも起業への気持ちは消えず、社会経験を積もうと広告代理店に就職しました。そこで学んだことを活かし、26歳で独立。広告代理店を立ち上げ、今は40代となり会社を経営しています。
このガイドは、昔の自分のように「何かしたいけど分からないことばかり」の学生に向けて作りました。完璧じゃなくていい。一歩踏み出すためのヒントを、ここで伝えていけたらと思っています。

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