はじめに:「届出=難しい」は誤解です

「契約とか開業届って、起業してからでいいでしょ?」「法律の話って苦手…」
そんな風に思っていませんか?
実は、起業を形にしていくうえで、法的な基礎知識は絶対に必要です。
でも安心してください。学生起業の初期段階で必要なのは、ほんの基本だけです。
このページでは、「個人事業主と法人の違い」「開業に必要な届け出」「最低限の契約知識」「法的な落とし穴を防ぐ方法」まで、ゼロから起業する人のために、必要な法務だけを丁寧に整理します。
まず考えるべき:個人事業主 or 法人?
起業といっても、必ず会社を作る必要はありません。
実は多くの学生起業家は、まず「個人事業主」としてスタートしています。
✅ 個人事業主とは?
- 個人の名前で事業を行う形式(=フリーランスとほぼ同義)
- 開業届を税務署に提出するだけでOK
- 法人設立に比べて手続きが簡単で、お金もほとんどかからない
✅ 法人(株式会社など)とは?
- 法務局で会社を設立する正式な形態
- 社会的信用度が高く、補助金や法人向けサービスが使いやすくなる
- 設立時に登記費用(約20万円前後)がかかる
| 項目 | 個人事業主 | 法人(株式会社) |
|---|---|---|
| 設立費用 | 0円(開業届のみ) | 約20万円(登記・印紙代など) |
| 税率 | 累進課税(最大55%) | 一律法人税(約23.2%) |
| 信用度 | 低め | 高め(取引先・銀行など) |
| 節税効果 | 限定的 | 経費計上・役員報酬など多彩 |
| 設立スピード | 即日 | 約1〜2週間+書類準備 |
✅ 学生起業にはまず「個人事業主」がおすすめ!
理由:
- 初期コストがほぼかからない
- 失敗してもやり直しやすい
- 所得が少なければ税負担も軽い
- まずは「テスト事業」で様子を見る段階として最適
【開業届】の出し方と準備物
▶ 開業届の概要
- 正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書
- 提出先:事業所の管轄税務署
- 提出期限:開業から1ヶ月以内が原則(遅れても罰則なし)
▶ 必要なもの
- マイナンバーカード or 通知カード
- 本人確認書類(学生証でもOKな場合あり)
- 印鑑(認印で可)
- 銀行口座(屋号付き口座の開設にも使える)
▶ 書き方のポイント
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 屋号 | 「UniMate」など、事業のブランド名(空欄でもOK) |
| 開業日 | 事業を始める日(実際の準備開始日でOK) |
| 事業の概要 | 「Webサービスの開発・販売」「教育系コンテンツ制作」など |
✅ 提出方法
- 窓口提出:管轄税務署へ持参
- 郵送:控え用のコピー+返信用封筒(切手付き)を同封
- e-Tax:マイナンバーカードとPCがあればオンライン申請可能
青色申告で節税スタート(開業届と一緒に出す)
個人事業主が使える節税制度、それが青色申告です。
✅ 青色申告とは?
- 所得から最大65万円を控除できる制度(帳簿付けが条件)
- 開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を出すことで使える
- 会計ソフト(freee・マネーフォワード)を使えば簡単に対応可能
✅ なぜ出すべき?
学生でも、年間10万円以上の利益が出そうなら
節税効果は大きく、帳簿管理も習慣化できるため、将来にも役立ちます。
最低限の契約知識を身につけよう
どんなに小さな事業でも、お金が動く=契約が発生するということです。
口約束だけでは、トラブル時に守ってもらえないリスクがあります。
| シーン | 契約書の例 |
|---|---|
| サービス提供 | 業務委託契約書/利用規約 |
| メディア運用 | 画像使用の許諾書 |
| クラファン | リターンの内容を明記した契約的表現 |
| 協業 | 覚書、秘密保持契約(NDA)など |
✅ 契約書の基本構成
- 契約の目的(何を、どこまで提供するか)
- 料金・納期・支払い方法
- 著作権や使用範囲の扱い
- トラブル時の責任分担(免責事項)
- 契約期間と解除条件
✅ 無料で使えるテンプレート
- 弁護士ドットコム:実務レベルの契約書テンプレあり
- bizocean(ビズオーシャン):PDF/Word形式でダウンロード可
- ChatGPT × 法律チェック:内容の下書き後に法的妥当性を相談するのも◎
Webビジネスをするなら知っておきたい「特定商取引法」
✅ 記載が必要な項目(例)
- 事業者名(屋号+氏名)
- 住所(個人の場合は自宅住所)
- 電話番号 or メールアドレス
- 販売価格・支払方法・返品対応などのルール
Point:
GoogleフォームやBASE、STORESなどの販売プラットフォームを使う場合も、特商法ページは原則必要です。
→ 住所を出したくない場合は「バーチャルオフィス」や「住所貸しサービス」の活用も検討しましょう。
商標・著作権・データの取り扱い
✅ 商標登録(将来的に検討)
- ブランド名を他社に使われたくない場合、商標登録で守る
- 出願費用:約5〜6万円〜(特許庁+弁理士)
✅ 著作権の基本
- 自分が作った文章・画像・動画には自動的に著作権が発生
- 他人の素材を使うときは「フリー素材」や「明示許可されたもの」を使用
✅ プライバシーポリシーと免責事項も整備
Webサイトでユーザーの個人情報を集める場合(メールアドレス、アクセス解析など)、
プライバシーポリシーが必須です。
同様に、責任の範囲を明記する免責事項も設定しておきましょう。
まとめ:最小限の「法務体制」で安心してスタートしよう
| やるべきこと | 優先度 |
|---|---|
| 開業届の提出 | ★★★★★ |
| 青色申告申請 | ★★★★☆ |
| 契約書の基礎理解 | ★★★☆☆ |
| 特定商取引法の表示 | ★★★★☆ |
| プライバシーポリシーの作成 | ★★★☆☆ |
| 商標・著作権の管理 | ★★☆☆☆(将来的に) |
起業とは、夢をカタチにする行動であると同時に、社会の一員として責任を持って行動するということです。
「ちゃんと法的に始めている」という自信が、信頼につながり、ビジネスの加速に直結します。
難しく考えすぎず、「必要なことだけ、順番に」整える意識で、前に進みましょう!
次は「仕事道具編」です。