起業家がスキルより経験を重視する理由

起業を考え始めた20代大学生の多くが、最初につまずくポイントがあります。
それは、
「どんなスキルを身につければ起業できるのか」
という問いです。

プログラミング、デザイン、マーケティング、営業、SNS運用…。
調べれば調べるほど「足りないスキル」ばかりが目につき、
「まだ準備が足りない」
「もう少し勉強してから」
と、行動を先延ばしにしてしまいます。

しかし、実際に起業を続けている人たちの多くは、
スキルよりも圧倒的に「経験」を重視しています。
なぜ起業家は、スキルより経験を大切にするのでしょうか。

この章では、その理由を構造的に解説します。


1. 起業に必要なスキルは「事前に定義できない」

起業前に
「これさえ身につければ成功できる」
というスキルセットを用意することは、ほぼ不可能です。

なぜなら、起業とは

  • 何が売れるか
  • 誰に刺さるか
  • どこで失敗するか

を、やってみないとわからない世界だからです。

事前に身につけたスキルが、
実際のビジネスではほとんど使えなかった、
というケースは珍しくありません。

起業家が経験を重視するのは、
「必要なスキルは、経験の中でしか見えてこない」
と知っているからです。


2. スキルは「使って初めて価値になる」

スキルは、持っているだけでは意味がありません。
使って、失敗して、改善して、初めて価値を持ちます。

例えば、
マーケティングの知識を本で学んでも、
実際に売れなければ、それはただの情報です。

一方、

  • 売れなかった経験
  • 反応がなかった広告
  • 失敗した価格設定

これらはすべて、
次にどうすればいいかを教えてくれる生きた教材です。

起業家は、スキルそのものよりも、
**「スキルを使って転んだ経験」**を評価します。


3. 経験は「判断力」を育てる

起業で最も重要な力の一つが、判断力です。

  • 今やるべきか、やらないべきか
  • お金を使うべきか、温存すべきか
  • この方向で続けるか、撤退するか

これらの判断は、マニュアルでは教えてもらえません。

判断力は、
成功と失敗の両方を経験することでしか身につかない力
です。

スキルをいくら学んでも、
実際の修羅場をくぐらなければ、
正しい判断はできるようになりません。


4. 経験は「再現性」を生む

起業家が重視するのは、
一度きりの成功ではなく、再現できる成功です。

経験を積んだ人は、

  • なぜうまくいったのか
  • なぜ失敗したのか

を言語化できます。

この言語化ができるからこそ、
別のビジネスでも応用が効きます。

一方で、スキルだけを学んだ人は、
「こう書いてあったからやった」
「言われた通りにやった」
という説明しかできません。

起業家が経験を重視するのは、
経験が“使い回せる力”になると知っているからです。


5. 経験は「メンタル耐性」を鍛える

起業では、

  • 否定される
  • 無視される
  • 失敗する
  • 思ったより稼げない

こうした場面が必ず訪れます。

このとき、
スキルしか持っていない人は、
「自分には向いていない」
と心が折れやすくなります。

一方で、経験を積んできた人は、
「まあ、こんなものだ」
と冷静に受け止められます。

なぜなら、
過去にも似た状況を乗り越えた経験がある
からです。

起業家にとって、メンタル耐性はスキル以上に重要です。


6. 経験は「自分だけの強み」になる

スキルは、誰でも学べます。
しかし、経験は、その人にしか持てません。

  • どんな失敗をしたか
  • どんな遠回りをしたか
  • 何につまずいたか

これらはすべて、
自分だけのストーリーです。

起業の世界では、
このストーリーこそが信頼につながります。

「うまくいかなかった経験」を語れる人ほど、
共感され、選ばれやすくなるのです。


7. 大学生起業家にとって経験は最大の資産

20代大学生がゼロから起業する最大の強みは、
失敗してもやり直せる時間があることです。

  • 大きな固定費がない
  • 家族を養う責任が小さい
  • キャリアを修正できる

この状況で得た経験は、
将来どんな道に進んでも必ず活きます。

仮に起業がうまくいかなかったとしても、
経験が残っていれば、それは「失敗」ではありません。

起業家が経験を重視するのは、
経験はゼロにならない資産だと知っているからです。


8. スキルは「経験の中で必要になった分だけ学べばいい」

ここまで読んで、
「じゃあスキルはいらないのか?」
と思ったかもしれません。

答えはNOです。
ただし順番が違います。

  • まずやってみる
  • 足りないと気づく
  • 必要な分だけ学ぶ

この順番が、最も効率的です。

起業家がスキルより経験を重視するのは、
経験があれば、学ぶべきスキルが自然と絞られる
と知っているからです。


まとめ:起業家にとって最大のスキルは「経験する力」

起業家がスキルより経験を重視する理由は、

  • 必要なスキルは事前に決められない
  • スキルは使って初めて意味を持つ
  • 経験が判断力と再現性を生む
  • メンタル耐性が鍛えられる
  • 経験は自分だけの資産になる

という点にあります。

20代大学生がゼロから起業するなら、
「スキルが足りない」と悩む前に、
小さく経験を積むことを優先してください。

起業に必要なのは、
完璧な準備ではなく、
不完全なまま踏み出す勇気です。

その一歩一歩の経験が、
後から振り返ったとき、
あなたを起業家にしてくれます。

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Author of this article

大学生の頃の自分は、「いつか何かやりたいな」と思いながらも、何をすればいいか分からず、正直モヤモヤしていました。そんなある日、地元の喫茶店でたまたま車屋の社長と出会ったことが、人生のきっかけになります。
「自分もやってみよう」と思い、21歳のときに車の仕入れと販売をスタート。実家の自分の部屋に電話線を引き、名刺を作り、今思えばかなり手探りで“起業っぽいこと”を始めました。
就活はせずに学生のまま起業を目指しましたが、現実はうまくいかず、卒業後はいったんフリーターに。それでも起業への気持ちは消えず、社会経験を積もうと広告代理店に就職しました。そこで学んだことを活かし、26歳で独立。広告代理店を立ち上げ、今は40代となり会社を経営しています。
このガイドは、昔の自分のように「何かしたいけど分からないことばかり」の学生に向けて作りました。完璧じゃなくていい。一歩踏み出すためのヒントを、ここで伝えていけたらと思っています。

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