― 事業より先に壊れる「見えない落とし穴」―
起業というと、多くの大学生はこう考えます。
- ビジネスモデル
- お金の稼ぎ方
- マーケティング
- スキルや実績
しかし、実際に多くの起業家がつまずく原因は、
**事業そのものではなく「人間関係」**です。
特に大学生起業では、
- 仲間との関係
- 先輩起業家との関係
- 顧客との関係
- 家族や友人との関係
これらが原因で、
心が折れ、事業をやめてしまうケースが非常に多いのが現実です。
この章では、
起業家が人間関係で失敗してしまう理由を分解し、
「なぜ起こるのか」「どう防げるのか」を具体的に解説します。
1. 起業すると人間関係が変わることを知らない
まず最初の落とし穴は、
起業すると人間関係が必ず変わるという事実を知らないことです。
大学生時代の人間関係は、
- 利害がない
- 目的が同じ(授業・サークルなど)
- 成果を求められない
という前提で成り立っています。
しかし、起業すると、
- お金が絡む
- 成果が求められる
- 立場が生まれる
この瞬間、
人間関係の性質そのものが変わります。
これを理解せずに起業すると、
「なんで分かってくれないんだ」
「前はこんな関係じゃなかった」
と、強いストレスを感じるようになります。
2. 「仲間だから大丈夫」という幻想
大学生起業で最も多い失敗が、
仲間意識に頼りすぎることです。
- 友達だから
- 一緒に頑張ってきたから
- 信頼しているから
こうした理由で、
- 契約を結ばない
- 役割を決めない
- お金の話を曖昧にする
結果どうなるか。
- 責任の所在が不明確になる
- 不満が溜まる
- 小さなズレが大きな亀裂になる
そして最終的に、
人間関係も事業も同時に壊れる。
仲が良いことと、
ビジネスがうまくいくことは、
まったく別物です。
3. 期待値をすり合わせていない
人間関係トラブルの正体は、
ほぼすべて期待値のズレです。
起業初期によくあるのが、
- 「本気度は同じだと思っていた」
- 「そこまでやるとは思っていなかった」
- 「ここまで求められるとは聞いていない」
これらはすべて、
事前に話していないことが原因です。
大学生起業では特に、
- 学業とのバランス
- 将来の進路
- お金に対する価値観
が人によって大きく違います。
にもかかわらず、
「そのうち分かり合えるだろう」と先送りすると、
必ず後で揉めます。
4. 「自分が正しい」と思い始めた瞬間に壊れる
起業が少しうまくいき始めた時、
人間関係のリスクは一気に高まります。
- 売上が立った
- 周りに評価された
- 自信がついた
これは良いことですが、
同時にこうした思考が生まれやすくなります。
「自分の判断は間違っていない」
「相手が分かっていないだけ」
この状態になると、
- 相手の意見を聞かなくなる
- 指摘を攻撃と捉える
- 対等な関係が崩れる
結果、
気づいた時には孤立しているというケースも少なくありません。
起業家に必要なのは、
「正しさ」よりも
関係を続けるための柔軟さです。
5. お金の話を避けることで信頼を失う
大学生起業で特にタブー視されがちなのが、
お金の話です。
- 報酬はいくらか
- いつ支払うのか
- 利益はどう分けるのか
これを曖昧にしたまま進めると、
信頼は必ず崩れます。
重要なのは、
「お金の話をする=嫌な人」ではない、という認識です。
むしろ、
- 事前に明確にする
- 書面で残す
- 誤解が起きないようにする
これができる人ほど、
誠実で信頼できる起業家です。
6. 断れない性格が人間関係を壊す
起業初期の大学生に多いのが、
断れない問題です。
- 無償で手伝ってほしいと言われる
- 無理な納期を頼まれる
- 本来やらなくていい仕事を引き受ける
最初は良くても、
これが続くと必ず心がすり減ります。
そしてある日、
- 急に冷たくなる
- 一方的に関係を切る
- 爆発する
こうした形で、
人間関係が壊れます。
断ることは、
相手を否定することではありません。
自分の限界を伝えることです。
7. 「人を選ぶ力」が未熟なまま起業している
大学生起業では、
出会う人の幅が一気に広がります。
- 起業家
- 投資家
- コンサル
- ビジネスコミュニティ
しかし、ここで重要なのは、
すべての人が味方ではないという現実です。
- 利用しようとする人
- マウントを取る人
- 依存させようとする人
こうした人を見抜けずに関わると、
精神的にも時間的にも消耗します。
起業家に必要なのは、
「人と仲良くする力」だけでなく、
距離を取る力です。
8. 孤独を悪いものだと思いすぎている
起業をすると、
必ず孤独を感じる瞬間があります。
その孤独を恐れて、
- 無理に人とつながる
- 不必要な関係を続ける
- 本音を言えなくなる
これも、人間関係トラブルの原因です。
しかし、
起業家にとって孤独は「異常」ではありません。
むしろ、
- 自分で決断する時間
- 考える時間
- 価値観を整理する時間
として、必要なものです。
孤独を受け入れられる人ほど、
健全な人間関係を築けます。
9. 人間関係で失敗しないための本質的な考え方
最後に、
起業家が人間関係で失敗しないために
最も大切な視点をお伝えします。
それは、
人間関係は「感情」ではなく「設計」するもの
という考え方です。
- 役割を決める
- ルールを決める
- 距離感を決める
これができていれば、
感情が揺れた時も関係は壊れにくくなります。
まとめ:人間関係は「起業スキル」の一部
起業家が人間関係で失敗する理由は、
- 性格が悪いからでも
- コミュニケーション能力が低いからでもありません。
起業特有の構造を知らないまま始めてしまうからです。
- 人間関係は変わる
- 期待値はズレる
- お金と責任が絡む
これを理解しているだけで、
トラブルの多くは防げます。
起業で最も大切なのは、
「人をうまく使うこと」ではありません。
人と長く、健全に関わり続けること。
それができる起業家こそ、
長く生き残っていきます。
