起業家が価格を安くしすぎると失敗する理由

――安くすれば売れる、は起業初期最大の落とし穴

起業を始めた20代大学生の多くが、
最初に必ずぶつかる悩みがあります。

  • 値段はいくらにすればいいのか
  • 高くすると売れない気がする
  • 実績がないから安くするしかない

そして、こう考えてしまいます。

「最初は安くして、実績を作ろう」
「とにかく売れないと意味がない」

この考え方自体は、一見正しそうに見えます。
しかし、はっきり言います。

起業初期に価格を安くしすぎると、かなり高い確率で失敗します。

しかもその失敗は、

  • すぐには表面化しない
  • 本人が「頑張っている」と思い込む
  • 気づいた時には引き返せない

という、非常に厄介な形で進行します。

この章では、
なぜ「安くする」という選択が
起業家を静かに追い込むのかを、構造的に解説します。


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1. 安くすると売れる、は半分しか正しくない

確かに、価格を下げれば
「買いやすさ」は上がります。

しかし、起業初期において重要なのは、
売れるかどうかではありません。

重要なのは、

  • 誰に売れているのか
  • どんな期待値で買われているのか
  • 継続できる形か

です。

安い価格で集まる顧客は、
次の特徴を持ちやすくなります。

  • 価格にしか興味がない
  • 少しでも高くなると離れる
  • 要求が多く、感謝が少ない

この顧客層が増えるほど、
起業は消耗戦になります。


2. 安すぎる価格は「自分の首を絞める契約」

起業初期の価格設定は、
その後のすべての行動に影響します。

安く設定すると、

  • 作業量が多くなる
  • 一件あたりの余裕がなくなる
  • 修正・改善の時間が取れなくなる

結果として、

「忙しいのに儲からない」状態に陥ります。

この状態が続くと、

  • 学習時間が減る
  • 事業設計ができなくなる
  • 思考が短期化する

安すぎる価格は、
努力すればするほど苦しくなる
罠のような契約なのです。


3. 安い価格は「顧客の質」を下げる

これは、きれいごとではありません。

価格は、
顧客の質を選別するフィルターです。

安すぎる価格設定をすると、

  • 本気度の低い人
  • 丸投げ思考の人
  • クレーム体質の人

が集まりやすくなります。

一方、適正な価格を払う人は、

  • 価値を理解しようとする
  • 協力的
  • 成果を一緒に作ろうとする

傾向があります。

つまり、
価格を下げることは、
自分にとって厳しい顧客を自ら呼び込む行為でもあります。


4. 「実績がないから安くする」は間違い

多くの20代大学生が、
こう考えます。

「まだ実績がないから、高くできない」

しかし、これは思考の順番が逆です。

起業初期に売っているのは、

  • 実績
    ではなく
  • 時間・労力・責任・リスク

です。

たとえ実績が少なくても、

  • 個別対応している
  • 本気で向き合っている
  • 責任を持って提供している

のであれば、
それには価格がついて当然です。

実績がない=安くていい、ではありません。


5. 安い価格は「価格を上げられない地獄」を生む

安くスタートした起業家が、
必ず直面する問題があります。

それが、
価格を上げられない問題です。

  • これまでの顧客が反発する
  • 離脱が怖い
  • 自分も言い出せない

その結果、

  • ずっと安いまま
  • ずっと忙しいまま
  • ずっと余裕がないまま

という状態が固定されます。

起業で一番つらいのは、
失敗ではありません。

**「抜け出せない成功もどき」**です。


6. 安くすると「自分の価値認識」が歪む

価格設定は、
顧客だけでなく
自分自身の認識にも影響します。

安く設定すると、

  • この程度の価値しかない
  • 自分はまだまだ
  • もっと頑張らないと

という思考に引っ張られます。

その結果、

  • 自信が削られる
  • 交渉が弱くなる
  • さらに安くする

という悪循環に入ります。

価格は、
自分が自分をどう扱っているかの表現でもあります。


7. なぜ20代大学生は価格を安くしがちなのか

20代大学生が価格を下げやすい理由は明確です。

  • 拒否されるのが怖い
  • 自信がない
  • 比較対象が多い
  • 経験が少ない

しかし、
安くすることで得られるのは、

  • 一時的な安心
  • 表面的な受注

だけです。

長期的に見れば、
最も高くつく選択になります。


8. 起業初期に持つべき価格の考え方

起業初期に大切なのは、
「安く売ること」ではありません。

「続けられる価格」を設定することです。

具体的には、

  • 無理なく対応できる
  • 学習と改善の時間が取れる
  • 精神的に余裕がある

この状態を作れる価格です。

価格は、
市場に合わせる前に
自分が壊れないかで決めるべきです。


9. 安くしないための現実的な対策

20代大学生におすすめの考え方は次の通りです。

  • 最初から「最低価格」を決める
  • 安さではなく「範囲」を限定する
  • 無償対応は期限付きにする
  • 合わない顧客は断る

価格を守ることは、
わがままではありません。

事業を守るための判断です。


まとめ|価格を下げる前に、壊れる未来を想像せよ

起業家が価格を安くしすぎると失敗する理由は、

  • 忙しいだけで儲からない
  • 顧客の質が下がる
  • 成長する余裕がなくなる
  • 価格を上げられなくなる
  • 自信が削られる

からです。

起業初期に必要なのは、
売れることではありません。

続けられることです。

価格は、
売上のためだけにあるのではありません。

あなたの時間・判断力・メンタルを守るためにあるのです。

20代大学生にとって起業は、
自分をすり減らす挑戦ではありません。

価値を正しく扱う練習の場です。

価格を守れる人ほど、
結果的に、
長く・楽に・強く
起業を続けることができます。

それが、
起業の現実であり、
生き残る人の共通点です。

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Author of this article

大学生の頃の自分は、「いつか何かやりたいな」と思いながらも、何をすればいいか分からず、正直モヤモヤしていました。そんなある日、地元の喫茶店でたまたま車屋の社長と出会ったことが、人生のきっかけになります。
「自分もやってみよう」と思い、21歳のときに車の仕入れと販売をスタート。実家の自分の部屋に電話線を引き、名刺を作り、今思えばかなり手探りで“起業っぽいこと”を始めました。
就活はせずに学生のまま起業を目指しましたが、現実はうまくいかず、卒業後はいったんフリーターに。それでも起業への気持ちは消えず、社会経験を積もうと広告代理店に就職しました。そこで学んだことを活かし、26歳で独立。広告代理店を立ち上げ、今は40代となり会社を経営しています。
このガイドは、昔の自分のように「何かしたいけど分からないことばかり」の学生に向けて作りました。完璧じゃなくていい。一歩踏み出すためのヒントを、ここで伝えていけたらと思っています。

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