起業初期に完璧主義が邪魔になる理由

― 真面目で優秀な大学生ほど、スタートラインで立ち止まってしまう ―

起業を考える大学生の中には、こう感じている人が少なくありません。

・中途半端なものは出したくない
・ちゃんと準備してから始めたい
・失敗するくらいなら、まだ動かない方がいい
・完成度を高めてから勝負したい

一見すると、とても真面目で、責任感のある考え方です。
しかし起業の現場では、この完璧主義こそが最大のブレーキになることが多々あります。

実際、起業初期で止まってしまう人の多くは、
・怠け者
・行動力がない人
ではありません。

むしろ、
考えすぎる人・準備しすぎる人・完璧を求める人です。

ここでは、なぜ起業初期に完璧主義が邪魔になるのかを、構造的に解説します。


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1. 起業初期に「完璧」は定義できない

まず、最も重要な前提があります。

起業初期には、完璧の基準そのものが存在しません。

・何が売れるか分からない
・誰に刺さるか分からない
・価格が適切か分からない

この状態で
「完璧なサービスを作ろう」
とすること自体が、論理的に不可能なのです。

完璧主義の人ほど、
・もっと調べよう
・もう少し改善しよう
・まだ出す段階じゃない
と、行動を先延ばしにします。

しかし実際には、
出してみない限り、何も分からない
これが起業の現実です。


2. 起業は「正解を作るゲーム」ではない

学校教育では、
・正解がある
・間違えないことが評価される
という環境で育ってきました。

その影響で、
起業も
「最初から正解を出すもの」
だと無意識に思い込んでしまいます。

しかし起業は、
正解を当てるゲームではありません。

・仮説を立てる
・試す
・ズレを修正する

この繰り返しによって、
後から正解に“近づいていく”プロセスです。

完璧主義は、
「最初から正解でなければならない」
という前提を持ってしまうため、
起業というプロセスと真っ向から衝突します。


3. 完璧主義は「失敗=人格否定」になりやすい

完璧主義の人ほど、
失敗を次のように捉えがちです。

・失敗=自分の能力不足
・失敗=向いていない証拠
・失敗=恥ずかしいこと

この認識のまま起業に挑むと、
小さな失敗でも精神的ダメージが大きくなります。

一方、起業で成果を出す人は、
失敗を
・条件が合わなかった
・検証結果が出ただけ
と捉えます。

起業において、
失敗は避けるものではなく、
前提条件です。

完璧主義は、
この前提を受け入れるのが難しいため、
起業初期で心が折れやすくなります。


4. 完璧を目指すほど「市場とのズレ」が大きくなる

完璧主義の人は、
自分の頭の中で
「理想のサービス」
を作り込もうとします。

・機能を盛り込む
・見た目を整える
・説明を完璧にする

しかしここに、大きな落とし穴があります。

市場(お客さん)は、その完璧さを求めていない
というケースが非常に多いのです。

・最低限の機能で十分
・多少荒くても問題ない
・とにかく早く欲しい

完璧主義で作り込んだものほど、
・時間がかかり
・コストが増え
・ズレた方向に進みやすい

起業初期では、
完成度よりも
「需要と合っているか」
の方が、圧倒的に重要です。


5. 完璧主義は「行動量」を奪う

起業で最も重要な指標は、
・才能
・学歴
・アイデア
ではありません。

行動量です。

・何回試したか
・何回修正したか
・何回失敗したか

完璧主義の人は、
1回の行動に時間とエネルギーを使いすぎます。

結果として、
・試行回数が少ない
・学習スピードが遅い
・経験値が溜まらない

一方、
「60点で出す人」は、
・行動回数が多い
・学びが早い
・修正が効く

起業初期では、
完成度より回転数
これが、勝敗を分けます。


6. 完璧主義は「始めない言い訳」になりやすい

ここは少し厳しい話ですが、
とても重要です。

完璧主義は、無意識のうちに
始めないための正当な理由
になってしまうことがあります。

・まだ勉強が足りない
・もっと準備してから
・今はタイミングじゃない

これらはすべて、
もっともらしい理由に見えます。

しかし裏を返せば、
・失敗するのが怖い
・評価されるのが怖い
・結果が出ない現実を見るのが怖い
という感情から、
目を逸らしている状態でもあります。

起業初期で最も危険なのは、
失敗することではなく、
何も起こらない状態が続くことです。


7. 起業初期に必要なのは「完璧」ではなく「耐性」

起業初期に本当に必要なのは、
完璧さではありません。

・不完全な状態で出す耐性
・批判を受け止める耐性
・失敗から立て直す耐性

これらは、
頭で考えて身につくものではなく、
実際に出して、失敗して、修正する中でしか育ちません。

完璧主義は、
この耐性が育つ前に、
行動を止めてしまいます。


8. 完璧主義を捨てる必要はない。ただし「使う場所」を変える

誤解してほしくないのは、
完璧主義そのものが悪いわけではない、ということです。

完璧主義は、
・品質を高める
・信頼を積み上げる
・長期的な価値を作る
場面では、大きな武器になります。

問題は、
起業初期にそれを使ってしまうことです。

起業初期は、
・雑でいい
・荒くていい
・仮でいい

そして、
「これはいける」と分かってから、
完璧主義を発動させればいいのです。


まとめ:起業初期に捨てるべきなのは「完璧さへの執着」

起業初期に完璧主義が邪魔になる理由は、
性格の問題ではありません。

・正解が分からない段階
・修正前提のプロセス
・行動量が価値になるフェーズ

この構造と、
完璧主義が噛み合っていないだけです。

大大学生の起業で大切なのは、
・正しく始めること
ではなく、
始めてから正しくしていくことです。

60点でいい。
未完成でいい。
失敗していい。

その一歩を踏み出した人だけが、
後から
「完成度を高めるステージ」
に進めます。

起業初期に必要なのは、
完璧さではなく、
動き続けられる柔らかさです。

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Author of this article

大学生の頃の自分は、「いつか何かやりたいな」と思いながらも、何をすればいいか分からず、正直モヤモヤしていました。そんなある日、地元の喫茶店でたまたま車屋の社長と出会ったことが、人生のきっかけになります。
「自分もやってみよう」と思い、21歳のときに車の仕入れと販売をスタート。実家の自分の部屋に電話線を引き、名刺を作り、今思えばかなり手探りで“起業っぽいこと”を始めました。
就活はせずに学生のまま起業を目指しましたが、現実はうまくいかず、卒業後はいったんフリーターに。それでも起業への気持ちは消えず、社会経験を積もうと広告代理店に就職しました。そこで学んだことを活かし、26歳で独立。広告代理店を立ち上げ、今は40代となり会社を経営しています。
このガイドは、昔の自分のように「何かしたいけど分からないことばかり」の学生に向けて作りました。完璧じゃなくていい。一歩踏み出すためのヒントを、ここで伝えていけたらと思っています。

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