――前向きな人ほど、静かに足元をすくわれる
起業を考える20代大学生の多くは、
こう言われたことがあるはずです。
- 起業家は楽観的じゃないと続かない
- 前向きに考えないと成功しない
- 失敗を気にする人は向いていない
確かに、
起業には前向きさが必要です。
不安ばかりでは、一歩も踏み出せません。
しかし、ここで重要な事実があります。
起業で失敗する人の多くは、悲観的すぎた人ではありません。
楽観主義すぎた人です。
この章では、
なぜ起業家が楽観主義に寄りすぎると危険なのか、
そして**「続く起業家が持っている現実的な思考」**とは何かを、
20代大学生向けに分かりやすく解説します。
1. 楽観主義そのものが悪いわけではない
最初に誤解を解いておきます。
楽観主義=悪ではありません。
- 挑戦を恐れない
- 失敗を引きずらない
- 可能性を信じられる
これらは、
起業において非常に重要な要素です。
問題なのは、
楽観主義が「思考停止」になる瞬間です。
- なんとかなるだろう
- そのうち伸びる
- 考えすぎても仕方ない
この状態に入ると、
起業は一気に危険ゾーンに入ります。
2. 楽観主義すぎる人は「現実を見るタイミングが遅れる」
起業初期は、
うまくいかないことが普通です。
- 売れない
- 反応がない
- 想定と違う
健全な起業家は、
この段階でこう考えます。
「どこがズレているのか?」
一方、
楽観主義すぎる人はこう考えます。
「まだ時期じゃないだけ」
「もう少し続ければ伸びるはず」
この違いが、
致命的な差を生みます。
現実を見るのが遅れるほど、
- 修正が遅れる
- 無駄な努力が増える
- 消耗が大きくなる
結果として、
取り返しがつかなくなります。
3. 楽観主義すぎると「検証」を軽視する
起業は、
基本的に仮説と検証の連続です。
- なぜ売れたのか
- なぜ反応がないのか
- 条件を変えるとどうなるか
しかし楽観主義が強すぎると、
- 深く考えなくてもいい
- そのうち当たる
- 勢いが大事
と、検証プロセスを飛ばしがちになります。
その結果、
- 再現性がない
- 成功理由が分からない
- 失敗を繰り返す
という状態に陥ります。
4. 楽観主義すぎる人は「固定費を上げやすい」
これは非常に多い失敗例です。
- これから伸びる前提で支出する
- 気合いを入れるために投資する
- 見栄や勢いで環境を整える
楽観主義が強いと、
「これくらいすぐ回収できる」
「将来の自分なら大丈夫」
と考えてしまいます。
しかし起業初期の売上は、
- 不安定
- 一時的
- 再現性が低い
という特徴があります。
固定費を上げすぎると、
少し調子が落ちただけで
一気に詰みます。
5. 楽観主義すぎると「撤退判断ができなくなる」
楽観主義が行き過ぎると、
撤退や方向転換を失敗と捉えるようになります。
- ここまでやったのに
- もう少しでいけそう
- 今やめたら負け
この思考が、
致命傷になります。
健全な起業家は、
- やめる=負け
ではなく - やめる=調整
と捉えます。
撤退判断ができない楽観主義は、勇気ではなく執着です。
6. なぜ20代大学生は楽観主義に傾きやすいのか
20代大学生が楽観主義に寄りやすい理由は明確です。
- 社会経験が少ない
- 大きな失敗経験が少ない
- まだ「失うもの」が見えにくい
これは悪いことではありません。
しかし同時に、
- リスクの重さを想像しにくい
- ダメージの蓄積を軽く見やすい
という弱点にもなります。
だからこそ、
意識的にブレーキを持つ必要があります。
7. 長く生き残る起業家は「現実主義×楽観主義」
長く生き残る起業家は、
極端な楽観主義者ではありません。
彼らは、
- 現実は冷静に見る
- 感情は前向きに保つ
という二層構造の思考を持っています。
- 数字はシビア
- 判断は慎重
- 気持ちは楽観的
このバランスが、
長期生存を可能にします。
8. 健全な楽観主義とは何か
起業における健全な楽観主義とは、
- 失敗しても修正できる
- 今回は外れても学びがある
- やり直せる前提で動く
という考え方です。
逆に危険なのは、
- なんとかなる
- うまくいくに決まっている
- 深く考えなくていい
という根拠なき楽観です。
9. 20代大学生が持つべき現実的な思考
最後に、
20代大学生が今から持つべき思考をまとめます。
- 楽観は「気持ち」だけに使う
- 判断は必ず数字と事実で行う
- 伸びない時期を前提にする
- 撤退や修正は前進の一部
- 固定費は最後まで低く保つ
これだけで、
起業の失敗確率は大きく下がります。
まとめ|起業で強いのは「前向きな現実主義者」
起業家が楽観主義すぎても危険な理由は、
- 現実を見るのが遅れる
- 検証を軽視する
- 支出が荒くなる
- 撤退判断ができなくなる
からです。
起業に必要なのは、
ポジティブさではありません。
**「冷静な現実認識の上に乗った前向きさ」**です。
20代大学生にとって起業は、
勢いで突っ込む勝負ではありません。
壊れないように前に進む長期戦です。
楽観で心を軽くし、
現実で足元を固める。
このバランスを持てた人が、
最後まで起業家として生き残ります。
