起業初期に借金をおすすめしない理由

――借金は「チャンスを広げる道具」ではなく「判断力を奪う足かせ」になりやすい

起業を考え始めた20代大学生が、
一度は耳にする言葉があります。

・起業するなら借金は当たり前
・自己資金がないなら融資を受けろ
・リスクを取らないと成功できない
・借金=覚悟の証

一見すると、
どれも「正しそう」に聞こえます。

しかし、ここで起業の現実をはっきり伝えます。

起業初期において、借金は成功確率を上げる行為ではありません。
むしろ、多くの場合で失敗確率を一気に引き上げます。

この章では、
なぜ起業初期に借金をおすすめしないのかを、
精神論ではなく「構造」と「実態」から解説します。


① 起業初期は「正解が分からない状態」だから借金と相性が悪い

起業初期の最大の特徴は、
何が当たるか分からないという点です。

・商品が合っているか分からない
・価格が適正か分からない
・集客方法が見えていない
・自分の強みすら曖昧

つまり、起業初期とは
仮説検証フェーズです。

この段階で借金をすると、
どうなるか。

・仮説が外れても返済は止まらない
・失敗しても修正する余裕がなくなる
・検証より「回収」が優先される

借金は、
「間違える自由」を奪います。

起業初期に一番必要なのは、
失敗できる余白です。

借金は、その余白を真っ先に削ります。


② 借金は「判断基準」を必ず歪める

借金を背負った瞬間、
人の頭の中の優先順位は変わります。

・来月の返済額
・最低限必要な売上
・赤字は絶対NG

すると、
本来やるべきことよりも、
「今すぐお金になるかどうか」が最優先になります。

・本当は断るべき案件を受ける
・安売りをする
・短期利益だけを追う
・怪しい話にも揺れる

これは意志が弱いからではありません。

借金という構造が、判断を歪めるのです。

起業初期で最も大切なのは、
・学ぶ
・試す
・直す
という長期視点。

借金は、この視点を壊します。


③ 借金は「メンタル」を確実に削る

起業初期は、
ただでさえ不安定です。

・成果が出ない
・正解が分からない
・孤独

この状態で借金を抱えると、
不安は一気に現実的な恐怖に変わります。

・返済できなかったらどうしよう
・人生詰むかもしれない
・失敗できない

この恐怖は、
起業家のメンタルを確実に削ります。

多くの人が起業をやめる理由は、
事業が失敗したからではありません。

借金による精神的プレッシャーに耐えられなくなったからです。


④ 「借金=覚悟」は、ほぼ幻想である

よく言われます。

・借金した方が本気になる
・退路を断てば成功する

しかし、現実は逆です。

借金をした人ほど、
・視野が狭くなる
・柔軟性がなくなる
・撤退や修正ができなくなる

これは覚悟ではありません。

追い込みです。

起業で必要なのは、
「逃げ道をなくす覚悟」ではなく、
**「逃げ道を残したまま続ける設計」**です。


⑤ 借金は「やめ時」を見えなくする

起業では、
・やめる
・縮小する
・方向転換する
という判断が、非常に重要です。

しかし借金があると、
こう考えてしまいます。

・もう借りてしまったから
・返さなきゃいけないから
・今やめたら意味がない

結果、
明らかに合っていない事業を
ズルズル続けてしまう。

これは根性ではなく、
サンクコスト(埋没費用)の罠です。

借金は、
正しい撤退を「悪」に見せてしまいます。


⑥ 起業初期に必要なのは「お金」より「時間」

20代大学生の最大の資産は、
お金ではありません。

時間です。

・学び直せる時間
・失敗できる時間
・やり直せる時間

借金をすると、
この時間が一気に圧縮されます。

・◯ヶ月以内に結果を出さないと
・返済が始まる
・猶予がない

起業初期に本当に必要なのは、
資金調達ではなく
生存期間の確保です。

固定費を下げ、
生活費を抑え、
小さく試し続ける。

これができれば、
借金は不要です。


⑦ 借金が必要な起業と、不要な起業は違う

ここで誤解してほしくない点があります。

すべての借金が悪ではありません。

・設備投資が必須
・原材料を先に仕入れる
・スケール前提の事業

こうしたビジネスでは、
借金や融資が合理的な場合もあります。

しかし、
20代大学生のゼロ起業の多くは違います。

・スキル
・知識
・情報
・サービス

これらは、
ほぼ借金なしで始められます。

借金が必要かどうかは、
「覚悟」ではなく
事業構造の問題です。


⑧ 起業初期に借金をしない人ほど、結果的に強くなる

興味深い事実があります。

長く生き残っている起業家ほど、
最初は借金をしていないケースが多い。

・小さく始め
・小さく稼ぎ
・自分の稼いだお金で拡大する

このプロセスを踏んだ人は、
・お金の感覚が身につき
・リスク管理がうまくなり
・失敗耐性が高くなる

借金なしで積み上げた経験は、
後の大きな判断で
圧倒的な強さになります。


⑨ どうしても不安なら「借金以外の選択肢」を先に使う

起業初期にお金が不安なら、
借金の前にやるべきことがあります。

・生活費を下げる
・副業・バイトを併用する
・無料ツールを使う
・スケールを落とす

これらをすべてやっても、
どうしても足りないなら、
初めて資金調達を検討すればいい。

**借金は「最後の選択肢」**です。
最初の一手ではありません。


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20代大学生に伝えたい結論

起業初期に借金をおすすめしない理由は、
「怖いから」でも
「挑戦を否定したいから」でもありません。

・判断力を守るため
・メンタルを壊さないため
・修正できる余白を残すため
・時間を味方につけるため

借金は、
起業家を強くする道具ではありません。

使いどころを間違えると、
起業そのものを終わらせる刃になります。


最後に

もし今、
「借金しないと起業できない」と感じているなら、
それは誤解です。

起業は、
大金をかけて始めるものではありません。

生き残りながら、学びながら、形にしていくものです。

借金をしない選択は、
逃げではありません。

最も賢く、最も再現性の高いスタートです。

このホームページが、
あなたが
「追い込まれる起業」ではなく
「続けられる起業」を選ぶための
指針になれば、それ以上のことはありません。

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Author of this article

大学生の頃の自分は、「いつか何かやりたいな」と思いながらも、何をすればいいか分からず、正直モヤモヤしていました。そんなある日、地元の喫茶店でたまたま車屋の社長と出会ったことが、人生のきっかけになります。
「自分もやってみよう」と思い、21歳のときに車の仕入れと販売をスタート。実家の自分の部屋に電話線を引き、名刺を作り、今思えばかなり手探りで“起業っぽいこと”を始めました。
就活はせずに学生のまま起業を目指しましたが、現実はうまくいかず、卒業後はいったんフリーターに。それでも起業への気持ちは消えず、社会経験を積もうと広告代理店に就職しました。そこで学んだことを活かし、26歳で独立。広告代理店を立ち上げ、今は40代となり会社を経営しています。
このガイドは、昔の自分のように「何かしたいけど分からないことばかり」の学生に向けて作りました。完璧じゃなくていい。一歩踏み出すためのヒントを、ここで伝えていけたらと思っています。

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