起業家が一度は経験する金銭トラブル

起業という言葉には、「自由」「成功」「好きなことで生きる」といったポジティブなイメージがつきまといます。しかし、現実の起業にはほぼ必ずと言っていいほどお金に関するトラブルがついて回ります。
特に、20代でゼロから起業する大学生起業家にとって、金銭トラブルは「知識不足」と「経験不足」が重なることで起こりやすいものです。

重要なのは、金銭トラブルは能力や努力不足ではなく、構造的に誰でも起こしうるものだと理解すること。そして、事前に「どんなトラブルが起きやすいのか」を知っておくことで、致命傷を避けられるという点です。

この章では、起業家が一度は経験しがちな代表的な金銭トラブルと、その背景、そして大学生起業家が取るべき現実的な対策を詳しく解説します。


1. 売上はあるのにお金が残らない問題

起業初期に最も多いのが、「売上は立っているのに、なぜかお金が増えない」というトラブルです。
これは多くの場合、利益と現金の違いを理解していないことが原因です。

例えば、10万円の売上があっても、広告費・外注費・ツール代・交通費などが差し引かれれば、手元に残るお金は数万円、場合によってはマイナスになることもあります。
特に大学生起業家は、売上=儲かっているという感覚に陥りやすく、気づかないうちに支出が膨らんでしまいます。

このトラブルの怖い点は、本人が成功していると勘違いしやすいことです。
数字を冷静に見なければ、「忙しいのに貧しい」という状態に長く苦しむことになります。


2. 入金遅れ・未払いによる資金ショート

フリーランス型や受託ビジネスを行う起業家が必ず直面するのが、入金の遅れや未払いです。
請求書を出したのに支払われない、支払期限が延びる、連絡が取れなくなる──こうしたトラブルは決して珍しくありません。

特に大学生起業家は、「仕事をもらえるだけありがたい」「強く言えない」という心理から、条件の悪い取引を受け入れてしまいがちです。その結果、生活費が足りなくなり、精神的にも大きなストレスを抱えることになります。

ここで重要なのは、入金されていない売上は存在しないのと同じだという認識です。
どれだけ働いても、現金が入らなければ生活は成り立ちません。


3. 初期投資でお金を使いすぎる

「起業するなら環境を整えないといけない」
この思い込みが、不要な初期投資につながるケースは非常に多いです。

高額なパソコン、立派なオフィス、デザインにこだわったホームページ、有料スクールやコンサルティング…。
確かにそれらは一見「投資」に見えますが、売上が出る前に行うと単なる浪費になることも多いのが現実です。

大学生起業家は特に、「本気感」を出すためにお金を使ってしまいがちですが、起業初期に必要なのは完璧な環境ではなく、小さく試して検証することです。


4. 税金・社会保険を甘く見てしまう

起業して初めて、「税金は後からやってくる」という現実に直面します。
売上が増えた翌年に、想像以上の税金や保険料の請求が来て、資金繰りが一気に苦しくなるケースは少なくありません。

特に大学生起業家は、確定申告や住民税、国民健康保険の仕組みを理解しないまま事業を進めてしまい、「稼いだはずなのにお金が消える」感覚に陥りやすいです。

税金は逃げられませんが、知っていれば備えられる支出です。
無知が原因で起こる金銭トラブルほど、もったいないものはありません。


5. 借金やクレジットカードに頼りすぎる

起業初期は収入が不安定なため、クレジットカードや借入に頼る場面が出てきます。
問題は、それを「一時的なつなぎ」ではなく、常態化させてしまうことです。

気づけばリボ払いや分割払いが増え、毎月の固定支出が重くのしかかる。
この状態になると、稼ぐために働いているのか、借金を返すために働いているのかわからなくなります。

借金そのものが悪なのではありませんが、返済計画のない借入は起業家の自由を奪うということを理解しておく必要があります。


6. 金銭トラブルは「失敗」ではなく「通過点」

ここまで読むと、不安になった人もいるかもしれません。
しかし、伝えたいのは「起業は危険だ」ということではありません。

多くの起業家は、大小さまざまな金銭トラブルを経験しながら、
・お金の管理方法
・優先順位の付け方
・リスクとの付き合い方
を身につけていきます。

つまり、金銭トラブルは失敗ではなく、起業家として成長するための通過点なのです。


7. 大学生起業家が今からできる現実的な対策

大学生起業家が金銭トラブルを最小限に抑えるために、今すぐできることはシンプルです。

  • 売上ではなく「手元に残るお金」を見る
  • 固定費を極力増やさない
  • 入金条件を必ず確認する
  • 税金分のお金を最初から別で確保する
  • 生活費を下げ、余裕を持った資金計画を立てる

これだけでも、致命的なトラブルの多くは回避できます。


まとめ:お金の失敗を知っている人ほど強い

起業家として長く生き残っている人ほど、過去にお金で痛い目を見ています。
そして、その経験があるからこそ、冷静で現実的な判断ができるようになります。

大学生で起業するということは、「失敗できる時間がある」という大きな強みを持っているということです。
金銭トラブルを恐れるのではなく、正しく恐れ、学び、次に活かす
それができれば、お金はあなたの敵ではなく、強力な味方になります。

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Author of this article

大学生の頃の自分は、「いつか何かやりたいな」と思いながらも、何をすればいいか分からず、正直モヤモヤしていました。そんなある日、地元の喫茶店でたまたま車屋の社長と出会ったことが、人生のきっかけになります。
「自分もやってみよう」と思い、21歳のときに車の仕入れと販売をスタート。実家の自分の部屋に電話線を引き、名刺を作り、今思えばかなり手探りで“起業っぽいこと”を始めました。
就活はせずに学生のまま起業を目指しましたが、現実はうまくいかず、卒業後はいったんフリーターに。それでも起業への気持ちは消えず、社会経験を積もうと広告代理店に就職しました。そこで学んだことを活かし、26歳で独立。広告代理店を立ち上げ、今は40代となり会社を経営しています。
このガイドは、昔の自分のように「何かしたいけど分からないことばかり」の学生に向けて作りました。完璧じゃなくていい。一歩踏み出すためのヒントを、ここで伝えていけたらと思っています。

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