起業を考え始めると、多くの人がまず気にするのが「月商」です。
月商10万円、30万円、100万円──数字が大きくなるほど、成功しているように見えます。
しかし、実際に長く生き残っている起業家ほど、月商という数字をそれほど重要視していません。
それどころか、「月商が伸びているのに、むしろ危険だと感じる」場面すらあります。
なぜでしょうか。
それは、月商はビジネスの“表面”しか映さない指標であり、本当の健全性や成長性を判断するには不十分だからです。
この章では、起業家が月商よりも重視している本質的な指標を、大学生にもわかる形で解説します。
1. なぜ月商は危険な指標になりやすいのか
月商とは、1か月間の売上の合計です。
一見するとわかりやすく、モチベーションにもなります。
しかし、月商には致命的な欠点があります。
- 利益が出ているかがわからない
- 継続性があるかが見えない
- 再現性があるか判断できない
たとえば、月商100万円でも、広告費や外注費で90万円かかっていれば、手元に残るのは10万円です。
さらに、その売上が一時的なキャンペーンによるものなら、翌月ゼロになる可能性もあります。
つまり月商は、「派手だが中身が見えない数字」なのです。
2. 起業家が最初に見るのは「粗利(利益)」
本当に重視される最初の指標は、利益、特に「粗利」です。
粗利とは、売上から直接かかったコストを引いた残りの金額です。
この数字がなければ、どれだけ売上があっても事業は続きません。
起業家はよくこう考えます。
「このビジネスは、1件売れるごとにいくら残るのか?」
大学生が起業初期に身につけるべき感覚は、
売上より“残るお金”を見る癖です。
粗利が高いビジネスは、多少売上が少なくても安定します。
逆に、粗利が低いビジネスは、売上を伸ばすほど苦しくなることすらあります。
3. キャッシュフロー(お金の流れ)
起業家が月商以上に恐れるのが、キャッシュが尽きることです。
どれだけ将来性があっても、手元の現金がなくなれば事業は止まります。
そこで重要になるのがキャッシュフロー、つまり
「お金がいつ入って、いつ出ていくのか」という流れです。
- 入金はいつか
- 支払いはいつか
- 先に出ていくお金はいくらか
大学生起業家がよくやってしまうのが、
「売上は立っているのに、口座にお金がない」状態です。
起業家は、月商よりも
あと何か月生き延びられるか
という視点で事業を見ています。
4. 継続率・リピート率
一度売れたかどうかよりも、
もう一度選ばれるかどうか。
これを示すのが継続率・リピート率です。
- サービスを継続してくれるか
- 再購入されているか
- 解約されていないか
この指標が高いビジネスは、非常に強いです。
なぜなら、新規集客に追われ続けなくて済むからです。
月商が低くても、リピート率が高い事業は、時間とともに安定します。
逆に、月商が高くてもリピートがなければ、常に不安定です。
5. 顧客単価とLTV(顧客生涯価値)
起業家がよく使う指標に、**LTV(Life Time Value)**があります。
これは、「一人の顧客が、長期的にいくらの価値をもたらすか」という考え方です。
たとえば、
1回1,000円の商品でも、10回買ってもらえればLTVは10,000円になります。
この指標を見ると、
- 値下げすべきか
- 商品を増やすべきか
- サポートを手厚くすべきか
といった判断がしやすくなります。
月商は「今月の数字」ですが、LTVは「未来を含んだ数字」です。
6. 集客コスト(CAC)
売上を伸ばすために、広告や時間を使って集客します。
そのときに重要なのが、1人の顧客を獲得するのに、いくらかかっているかという視点です。
これをCAC(顧客獲得コスト)と呼びます。
もし
- 集客コスト > 利益
になっていれば、売れれば売れるほど赤字です。
起業家は月商を見ながら、必ず
「この売上は、どれくらいのコストで生まれているのか?」
を同時に確認しています。
7. 再現性と安定性
最後に、起業家が最も重視している指標は、
その数字が再現できるかどうかです。
- 来月も同じ売上が見込めるか
- 他の人でも再現できるか
- 自分が休んでも回るか
月商100万円が一度出たことより、
月商30万円が半年続いていることのほうが、はるかに価値があります。
再現性のあるビジネスは、改善も拡大もできます。
再現性のない月商は、ただの「一発屋」です。
まとめ:数字を見る視点が、起業家の寿命を決める
起業家が月商より重視するのは、
- 利益
- キャッシュフロー
- 継続率
- LTV
- 集客コスト
- 再現性
といった、事業の中身を映す指標です。
大学生がゼロから起業するなら、
「月商いくらか」よりも
「このビジネスは、積み上がる構造か」
を問い続けてください。
派手な数字より、地味だが強い数字を見る。
その視点を持てた人から、起業家として長く生き残っていきます。
