起業でお金の話が苦手な人への処方箋

― 「お金が苦手」は才能不足ではなく、思考のクセ ―

起業を目指す大学生の中には、こんな悩みを抱えている人が少なくありません。

・お金の話をするのが気まずい
・値段交渉が怖い
・請求や報酬の話を切り出せない
・「お金のことばかり考えている人」に見られたくない

こうした理由から、
お金の話を避け続けてしまう起業家予備軍は非常に多いです。

しかし断言します。
お金の話が苦手なのは、起業家として致命的な欠点ではありません。
むしろそれは、真面目で誠実な人ほど抱えやすい悩みです。

ここでは、お金の話に苦手意識を持つ人が、
無理なく、健全に、お金と向き合えるようになるための「処方箋」をお伝えします。


1. お金の話が苦手な正体は「性格」ではない

まず知ってほしいのは、
お金の話が苦手なのは、あなたの性格の問題ではないということです。

多くの場合、その正体は次のような思い込みです。

・お金の話=いやらしい
・お金を求める=がめつい
・価値は善意で伝えるべき

日本の教育や文化の中で、
お金の話は「避けるべきもの」「表に出さないもの」と刷り込まれてきました。

そのため、起業を始めた瞬間に
価値提供とお金の話を同時に扱うことに、強い違和感が生まれるのです。

これは誰にでも起こる、ごく自然な反応です。


2. お金の話を避けるほど、相手を困らせてしまう

意外に思われるかもしれませんが、
お金の話を避けることは、相手のためにもなりません。

・料金が曖昧
・条件が不明確
・どこまでが無料でどこから有料か分からない

この状態は、
相手に不安とストレスを与える結果になります。

ビジネスにおいて、お金の話をすることは
「関係を壊す行為」ではなく、
「関係を健全にする行為」です。

明確な金額、条件、範囲を示すことで、
信頼はむしろ高まります。


3. 「自分がお金を受け取る理由」を言語化する

お金の話が苦手な人にまず必要なのは、
自分が報酬を受け取る正当性を、自分自身が納得することです。

・どんな価値を提供しているのか
・どんな時間や労力を使っているのか
・相手にとって何が解決されているのか

これらを言葉にできないまま料金を提示すると、
罪悪感や後ろめたさが生まれます。

逆に、
「この価値には、この対価が必要だ」
と自分で説明できるようになると、
お金の話は驚くほど楽になります。


4. お金の話は「交渉」ではなく「確認」だと考える

お金の話が苦手な人ほど、
料金の話=バトル
だと無意識に捉えています。

しかし実際は、
条件をすり合わせるための確認作業にすぎません。

・この内容でこの金額
・この期間でこの範囲
・追加があれば別料金

感情ではなく、情報として整理する。
これだけで、お金の話は一気に冷静になります。

起業家に必要なのは、強気さではなく、
事実を淡々と伝える力です。


5. 最初から「完璧な価格設定」を目指さない

大学生起業でよくある失敗が、
「正解の価格」を探し続けて動けなくなることです。

しかし、起業初期に完璧な価格など存在しません。

・安すぎたら次で調整する
・高すぎたら下げればいい
・反応を見ながら変えればいい

価格は、
実際に出してみて初めて分かるものです。

「失敗したらどうしよう」と思う必要はありません。
価格調整は失敗ではなく、学習です。


6. 「お金の話=人間性の評価」ではない

お金の話をするとき、
「嫌われたらどうしよう」
と感じる人は多いでしょう。

しかし、ほとんどの場合、
人はあなたの人間性ではなく、
条件そのものを見て判断しています

・合えば進む
・合わなければ見送る

それだけの話です。

お金の話で断られることは、
あなた自身を否定されたわけではありません。

この切り分けができるようになると、
お金の話に対する恐怖は大きく和らぎます。


7. お金の話ができるようになると、起業は一気に楽になる

お金の話を避けている間、起業は常に不安定です。

・収入が読めない
・境界線が曖昧
・精神的に疲れる

しかし、お金の話をきちんとできるようになると、
次の変化が起こります。

・関係がシンプルになる
・自分の価値を客観視できる
・事業としての手応えが出る

お金の話は、起業家にとって
避けるべき壁ではなく、越えることで楽になる扉です。


8. 処方箋まとめ:今日からできる3つのこと

最後に、お金の話が苦手な人が
今日からできる具体的な処方箋をまとめます。

  1. 自分の価値を紙に書き出す
     → 提供内容・時間・成果を言語化する
  2. 料金を「説明文」とセットで考える
     → 金額だけでなく理由を添える
  3. 完璧を目指さず、まず一度提示してみる
     → 調整前提でOKと自分に許可を出す

これだけで、お金の話へのハードルは確実に下がります。


まとめ:お金の話ができる人ほど、誠実な起業家になれる

お金の話が苦手なのは、弱さではありません。
それは、相手や関係性を大切にしたいという姿勢の表れです。

だからこそ、
避けるのではなく、
丁寧に、誠実に、言葉にする力
へと変えていきましょう。

お金の話ができるようになったとき、
あなたの起業は「挑戦」から「事業」へと進化します。

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Author of this article

大学生の頃の自分は、「いつか何かやりたいな」と思いながらも、何をすればいいか分からず、正直モヤモヤしていました。そんなある日、地元の喫茶店でたまたま車屋の社長と出会ったことが、人生のきっかけになります。
「自分もやってみよう」と思い、21歳のときに車の仕入れと販売をスタート。実家の自分の部屋に電話線を引き、名刺を作り、今思えばかなり手探りで“起業っぽいこと”を始めました。
就活はせずに学生のまま起業を目指しましたが、現実はうまくいかず、卒業後はいったんフリーターに。それでも起業への気持ちは消えず、社会経験を積もうと広告代理店に就職しました。そこで学んだことを活かし、26歳で独立。広告代理店を立ち上げ、今は40代となり会社を経営しています。
このガイドは、昔の自分のように「何かしたいけど分からないことばかり」の学生に向けて作りました。完璧じゃなくていい。一歩踏み出すためのヒントを、ここで伝えていけたらと思っています。

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