起業家が専門性を作るプロセス

起業を考え始めた20代大学生から、非常によく聞く悩みがあります。

「自分には専門性がありません」
「何か一つ、強みがないと起業できませんよね?」

この悩みは、起業を志す人のほぼ全員が一度は通ります。
そして多くの人が、この時点で立ち止まってしまいます。

しかし、実際に長く起業を続けている人たちの多くは、
起業前から明確な専門性を持っていたわけではありません。

むしろ、専門性は
起業の“結果”として後から形づくられていくもの
だと理解しています。

では、起業家はどのようにして専門性を作っていくのでしょうか。
ここでは、再現性のあるプロセスとして解説します。


専門性は「選んでから身につくもの」ではない

大学生が考える専門性は、次のようなイメージが多いです。

  • 何年も勉強して身につける
  • 資格や肩書きで証明される
  • 最初から完璧な知識がある

しかし、起業の現場で求められる専門性は、
このイメージとは大きく異なります。

起業家にとっての専門性とは、

「特定の悩みを、一定以上の確率で解決できる状態」

です。

最初から完璧である必要はありません。
重要なのは、「実際に人の役に立てているかどうか」です。


ステップ①「誰のどんな悩みか」を一つに絞る

起業家が専門性を作る最初のステップは、
スキルを磨くことではありません。

**「対象を絞ること」**です。

  • 誰の
  • どんな悩みを

解決するのかを、極端なほど小さく設定します。

たとえば、

  • 大学生全般 → ✕
  • 就活生 → △
  • 就活に不安を感じている理系大学生 → ○

このように、対象を具体化することで、
「何を学ぶべきか」「何を提供すべきか」が見えてきます。

専門性は、広げることで生まれるのではなく、
絞ることで輪郭が見えてくるのです。


ステップ②「自分が一歩先にいる領域」を選ぶ

多くの大学生が勘違いしているのが、
「専門家=圧倒的に詳しい人」という認識です。

しかし起業初期に必要なのは、
5年先を走っている人ではありません。

必要なのは、

「少し前まで同じ悩みを持っていた人」

です。

  • 昨年まで悩んでいた
  • 最近つまずいた
  • つい最近解決した

こうした経験は、そのまま価値になります。

起業家は、

  • 自分が通ってきた道
  • つまずいたポイント
  • 乗り越えた方法

を整理することで、専門性のタネを見つけます。


ステップ③「学びながら売る」を繰り返す

専門性は、机の上では完成しません。
実践の中で磨かれていきます。

起業家は、次のサイクルを高速で回します。

  1. 仮説を立てる
  2. 小さく提供する
  3. 反応を見る
  4. 修正する

たとえば、

  • 無料相談をしてみる
  • 小さなサービスを出してみる
  • 情報発信して反応を見る

この過程で、

  • よく聞かれる質問
  • つまずくポイント
  • 伝わらない表現

が明確になります。

これこそが、
専門性が現実に即して深まっていく瞬間です。


ステップ④「共通パターン」を見つける

実践を重ねると、必ずある変化が起きます。

  • 似た質問を何度もされる
  • 同じところで悩む人が多い
  • 同じ説明を繰り返している

これが、専門性の核になります。

起業家は、この共通パターンを言語化します。

  • なぜここで止まるのか
  • どう考えれば抜け出せるのか
  • 何を伝えると理解が早いのか

この整理が進むほど、
「その分野の人」という認識が周囲に広がっていきます。


ステップ⑤「説明がシンプルになる」

専門性が高まると、
説明がどんどんシンプルになります。

これは、知識が浅いからではありません。
本質を理解しているからです。

  • 難しい言葉を使わない
  • 例え話が増える
  • 相手のレベルに合わせられる

起業家の専門性は、
「難しく話せること」ではなく、
**「分かりやすく伝えられること」**で測られます。


ステップ⑥「専門性は周りが決める」

起業家が自分で
「自分は専門家です」と名乗ることは、ほとんどありません。

専門性は、
周囲からそう認識された時に初めて成立します。

  • 困ったらあの人に聞こう
  • あの分野ならあの人
  • 相談しやすい

こうした評価は、

  • 実績
  • 発信
  • 対応の積み重ね

から自然と生まれます。

焦って肩書きを作る必要はありません。


よくある「専門性づくりの勘違い」

20代大学生がハマりやすい誤解があります。

  • 専門性は一生変えられない
  • 最初に決めないとダメ
  • 間違えたら終わり

これはすべて誤りです。

起業家の専門性は、

  • 市場に合わせて変わる
  • 自分の成長に合わせて進化する
  • 経験によって深まる

ものです。

最初から正解を選ぶ必要はありません。


専門性がない状態こそ、最大のチャンス

意外に思われるかもしれませんが、
専門性がない状態は、起業において不利ではありません。

むしろ、

  • 学ぶ姿勢がある
  • 相手目線で考えられる
  • 分かりやすく説明できる

という強みがあります。

起業家が専門性を作るプロセスは、
「知識を積む」ことではなく、
人の悩みに向き合い続けることなのです。


20代大学生が今すぐできる第一歩

専門性を作るために、
今すぐできることはとてもシンプルです。

  • 自分が最近悩んだことを書く
  • それをどう解決したか整理する
  • 同じ悩みを持つ人に話してみる

これだけで、
専門性づくりのプロセスは始まります。


専門性は「作ろう」とすると作れない

最後に、最も大切なことをお伝えします。

専門性は、
「専門家になろう」と思って作るものではありません。

  • 目の前の人を助ける
  • 試行錯誤を続ける
  • 改善を重ねる

この積み重ねの先に、
結果として生まれるものです。

起業家が専門性を作るプロセスとは、
自分の知識を磨く旅ではなく、他人の課題に向き合い続ける道です。

20代大学生にとって、
「今は専門性がない」という状態は、
スタート地点として完璧なのです。

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Author of this article

大学生の頃の自分は、「いつか何かやりたいな」と思いながらも、何をすればいいか分からず、正直モヤモヤしていました。そんなある日、地元の喫茶店でたまたま車屋の社長と出会ったことが、人生のきっかけになります。
「自分もやってみよう」と思い、21歳のときに車の仕入れと販売をスタート。実家の自分の部屋に電話線を引き、名刺を作り、今思えばかなり手探りで“起業っぽいこと”を始めました。
就活はせずに学生のまま起業を目指しましたが、現実はうまくいかず、卒業後はいったんフリーターに。それでも起業への気持ちは消えず、社会経験を積もうと広告代理店に就職しました。そこで学んだことを活かし、26歳で独立。広告代理店を立ち上げ、今は40代となり会社を経営しています。
このガイドは、昔の自分のように「何かしたいけど分からないことばかり」の学生に向けて作りました。完璧じゃなくていい。一歩踏み出すためのヒントを、ここで伝えていけたらと思っています。

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