起業家が一度は通るスキル不安

―「自分には何もない」と感じる瞬間は、成長の入口である ―

起業に興味を持ち、実際に一歩踏み出そうとした瞬間、
多くの大学生が必ずぶつかる感情があります。

それが、スキル不安です。

・自分には売れるスキルがない
・プロと比べるとレベルが低すぎる
・この程度でお金をもらっていいのか
・いつか「できない人」だとバレるのではないか

この不安を感じない起業家は、ほぼ存在しません。
むしろ、真剣に起業を考えている人ほど、深く悩みます。

この章では、
起業家が必ず一度は通る「スキル不安」の正体と、
なぜそれが間違いではないのか、
そしてどう向き合えばいいのかを、現実ベースで解説します。


1. スキル不安は「起業家失格のサイン」ではない

まず最初に伝えたいことがあります。

スキル不安を感じることは、
起業に向いていない証拠ではありません。

むしろ逆です。

・価値提供を真剣に考えている
・責任を軽く見ていない
・お金をもらうことを重く受け止めている

こうした姿勢がある人ほど、
「自分のスキルで大丈夫か?」
と不安になります。

スキル不安とは、
誠実さの裏返しでもあるのです。


2. なぜ起業家は必ずスキル不安を感じるのか

大学生時代までの評価基準は、とても分かりやすいものでした。

・テストの点数
・資格
・偏差値
・明確な正解

しかし起業の世界には、
この「分かりやすい物差し」が存在しません。

・どのレベルならOKなのか分からない
・正解が見えない
・比較対象が曖昧

その結果、
自分で自分を評価するしかなくなる
という状態が生まれます。

これが、スキル不安の正体です。


3. スキル不安が最も強くなるタイミング

スキル不安は、いつも同じ強さではありません。
特に強くなるのは、次のような瞬間です。

・初めてお金をもらう直前
・仕事として依頼を受けた時
・他人の成果を見た時
・少しできるようになった時

特に重要なのが、
**「少しできるようになった時」**です。

この段階になると、
・上には上がいる
・自分の未熟さが見えてくる
という現象が起こります。

これは成長が止まっているのではなく、
視野が広がった証拠です。


4. スキル不安の正体は「比較」と「理想像」

スキル不安の多くは、
現実の自分ではなく、
頭の中にある理想像との比較から生まれます。

・SNSで見るすごい人
・短期間で成功した人
・完成されたサービス

これらと今の自分を比べることで、
「自分は全然ダメだ」
という感情が生まれます。

しかし忘れてはいけません。

その人たちも、
同じ不安を通過してきた側です。

今見えているのは、
結果だけが切り取られた姿にすぎません。


5. スキルは「完成してから使うもの」ではない

スキル不安を強める最大の誤解があります。

それは、
「スキルは完成してから使うもの」
という考え方です。

しかし現実の起業では、
スキルはこう育ちます。

・使う
・足りないことに気づく
・学ぶ
・また使う

つまり、
未完成のまま使われ続けることで完成に近づく
という構造です。

スキル不安を感じている時点で、
あなたはすでに
「使うフェーズ」に入っています。


6. 「このレベルでお金をもらっていいのか?」という葛藤

多くの大学生起業家が、
次の壁にぶつかります。

「このスキルで、お金をもらっていいのだろうか」

この問いは、とても健全です。
しかし、ここで考えるべき基準は
「自分の完璧さ」ではありません。

・相手の課題は解決されているか
・相手は価値を感じているか
・相手が納得して支払っているか

お金は、
「あなたがプロかどうか」ではなく、
「相手の困りごとが軽くなったかどうか」
に対して支払われます。


7. スキル不安を抱えたまま動ける人が伸びる

起業で伸びる人には、
ある共通点があります。

それは、
不安がなくなってから動くのではなく、
不安を抱えたまま動ける

という点です。

・自信はないけどやる
・完璧じゃないけど出す
・怖いけど一歩踏み出す

この行動の積み重ねが、
スキル不安を「現実的な課題」に変えていきます。

不安を消そうとする人より、
不安と一緒に進める人の方が、
結果的に早く成長します。


8. スキル不安が消える瞬間は存在しない

意外かもしれませんが、
スキル不安は
完全に消えることはありません。

・レベルが上がれば、基準も上がる
・新しい分野に入れば、また不安が出る

これは、
成長が続いている証拠です。

スキル不安がまったくない状態は、
成長が止まっているか、
挑戦していない可能性が高いのです。


9. スキル不安との正しい付き合い方

スキル不安を感じた時に、
やるべきことはシンプルです。

・完璧を目指さない
・一人で抱え込まない
・フィードバックをもらう
・小さな改善を積み重ねる

不安を「自分の価値」だと捉えるのではなく、
改善ポイントを教えてくれるセンサー
として扱う。

これができるようになると、
スキル不安は敵ではなく、
成長を導く味方に変わります。


まとめ:スキル不安は「通過点」であって「欠陥」ではない

起業家が一度は通るスキル不安は、
避けるべきものではありません。

・真剣に向き合っている証拠
・責任を感じている証拠
・成長段階に入った証拠

この3つが揃った時に、
人はスキル不安を感じます。

大切なのは、
不安があるから止まるのではなく、
不安がある状態でも前に進める設計を作ることです。

起業とは、
自信がついてから始めるものではありません。
不安と共に進む中で、自信が育つプロセスです。

今スキル不安を感じているなら、
あなたはすでに
起業家として正しい道を歩き始めています。

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Author of this article

大学生の頃の自分は、「いつか何かやりたいな」と思いながらも、何をすればいいか分からず、正直モヤモヤしていました。そんなある日、地元の喫茶店でたまたま車屋の社長と出会ったことが、人生のきっかけになります。
「自分もやってみよう」と思い、21歳のときに車の仕入れと販売をスタート。実家の自分の部屋に電話線を引き、名刺を作り、今思えばかなり手探りで“起業っぽいこと”を始めました。
就活はせずに学生のまま起業を目指しましたが、現実はうまくいかず、卒業後はいったんフリーターに。それでも起業への気持ちは消えず、社会経験を積もうと広告代理店に就職しました。そこで学んだことを活かし、26歳で独立。広告代理店を立ち上げ、今は40代となり会社を経営しています。
このガイドは、昔の自分のように「何かしたいけど分からないことばかり」の学生に向けて作りました。完璧じゃなくていい。一歩踏み出すためのヒントを、ここで伝えていけたらと思っています。

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