起業を考え始めた大大学生の多くが、最初にこんな壁にぶつかります。
「自分には、これといった得意なことがない」
「強みや才能が見つからない」
「得意分野が決まってから起業すべきではないか」
この悩みは、とても真面目で、誠実な人ほど強く感じます。
しかし、実際に起業を続け、結果を出している人たちを見てみると、
最初から“これが自分の得意だ”と明確に言えた人は、ほとんどいません。
むしろ多くの起業家は、
「得意は、後から振り返って見つかるもの」
だと口をそろえて言います。
なぜ起業家は、得意を最初に見つけないのでしょうか。
そして、なぜ後から見つかるのでしょうか。
この章では、その理由を構造的に解説します。
1. 起業前に「得意」を探しても見つからない理由
起業前に「得意なこと」を探そうとすると、ほとんどの人は行き詰まります。
それは、得意を
頭の中だけで定義しようとしている
からです。
- 他人より圧倒的にできること
- 才能があると言われたこと
- 誰にも負けない専門分野
こうした基準で考えると、
「自分には何もない」
という結論に行き着きやすくなります。
しかし起業における得意は、
学校やテストで測られるような
能力比較の得意ではありません。
起業前の段階で、
本当の意味での得意が見えないのは、
むしろ自然なことなのです。
2. 起業家にとっての「得意」は、能力ではなく役割
起業家が言う「得意」とは、
単なるスキルや能力ではありません。
それは、
「どんな場面で、どんな役割を自然に担っていたか」
ということです。
- なぜか相談される
- 気づくとまとめ役になっている
- トラブル対応を任される
- 説明役をやっている
これらは、
本人が意識していなくても、
周囲から求められている役割です。
しかし、この役割は、
行動してみないと表に出てきません。
だから起業家は、
得意を探す前に、
まず動くことを選ぶのです。
3. 行動すると「評価」が先に生まれる
起業家が得意を後から見つける最大の理由は、
評価は、行動の後にしか生まれない
という事実を知っているからです。
- やってみた
- 手伝ってみた
- 提供してみた
この行動に対して、
- 助かった
- わかりやすかった
- 任せやすかった
という反応が返ってきます。
この反応こそが、
得意の原石です。
行動しない限り、
他人からの評価は生まれません。
評価がなければ、
得意も見えてこないのです。
4. 得意は「続けられたこと」の中に隠れている
起業家が後から気づく得意には、
ある共通点があります。
それは、
なぜか続いていたことです。
- 他の人は面倒がるのに、自分は苦にならない
- 結果が出なくても、なぜかやめなかった
- 改善するのが楽しかった
これは、
「好き」や「才能」よりも、
はるかに信頼できるサインです。
起業において強い得意は、
瞬間的にうまくできることではなく、
長く関わり続けられること
から生まれます。
この事実は、
後から振り返らないと見えません。
5. 得意は「失敗の数」とセットで育つ
起業家の得意は、
成功体験だけでできているわけではありません。
むしろ、
- 何度も失敗した
- 遠回りした
- 同じミスを繰り返した
こうした経験とセットで育っています。
失敗を重ねた分だけ、
- 勘所がわかる
- つまずきポイントが見える
- 人に説明できる
ようになります。
起業家が
「これが自分の得意です」
と言えるようになるのは、
失敗を通過した後なのです。
6. 「得意を決めてから動く」は、順番が逆
多くの大学生起業家が陥る罠があります。
それが、
「得意を決めてから起業する」
という考え方です。
しかし実際には、
順番は逆です。
- 動く
- 反応を受け取る
- 評価が集まる
- 得意が見える
この流れでしか、
起業の得意は見つかりません。
得意を先に決めようとすると、
行動が止まり、
結果として何も始まりません。
7. 起業家は「得意を固定しない」
もう一つ重要な特徴があります。
起業家は、
得意を一生のものとして固定しません。
- フェーズが変われば、得意も変わる
- 環境が変われば、役割も変わる
- 経験が増えれば、得意も進化する
最初は、
「ちょっと得意」
だったものが、
数年後には
「明確な強み」
に育っていることも珍しくありません。
だから起業家は、
最初から完璧な得意を求めないのです。
8. 大学生起業家にとって「得意がない」は最大の武器
一見すると弱点に見える
「得意がない状態」
は、実は大きな強みでもあります。
- 何でも試せる
- 方向転換しやすい
- 固定観念がない
これは、
経験を積み上げるうえで、
非常に有利な状態です。
最初から得意が決まっている人ほど、
その枠に縛られてしまうこともあります。
大学生起業家は、
得意が決まっていないからこそ、成長できる
のです。
9. 得意は「名乗った瞬間」ではなく「頼まれた瞬間」に確定する
起業家にとって、
得意が本物になったと感じる瞬間があります。
それは、
同じことで何度も頼まれたとき
です。
- またお願いしたい
- あなたに任せたい
- 他の人よりやりやすい
この状態になったとき、
得意は
「自己申告」から
「他者評価」へと変わります。
ここまで来て、
初めて得意は
仕事として機能し始めます。
10. 起業家が得意を後から見つける本当の理由
起業家が得意を後から見つける理由は、
非常にシンプルです。
得意は、行動した人にしか見えない情報だから
です。
考えているだけの状態では、
得意も、強みも、適性も、
すべて仮説にすぎません。
行動し、
現実とぶつかり、
評価を受け取り、
振り返る。
このプロセスを通った人だけが、
「ああ、これが自分の得意だったのか」
と気づけます。
まとめ:得意は「探すもの」ではなく「育つもの」
起業家が「得意」を後から見つける理由は、
- 起業の得意は行動しないと見えない
- 評価は後からしか生まれない
- 続いたこと・頼まれたことが得意になる
- フェーズによって得意は変わる
という、起業の現実にあります。
大大学生がゼロから起業するなら、
「得意がない」と悩む必要はありません。
得意は、
見つけてから始めるものではなく、
始めた人に、後からついてくるもの
だからです。
不器用でもいい。
遠回りでもいい。
迷ってもいい。
まず動くこと。
それが、
あなたの得意を、
唯一見つけ出してくれる方法です。
