起業家が実務で覚えることの価値

― 教科書では絶対に身につかない「生きた力」が、事業を前に進める ―

起業を目指す大学生の多くが、最初にこう考えます。

・まずは勉強してから始めたい
・知識が足りないまま動くのは不安
・実務はスキルを身につけてからでいい

この考え方は、とても真面目です。
しかし、実際に起業の現場で結果を出している人ほど、
「実務の中で覚えたこと」を何よりも価値あるものだと口を揃えます。

なぜなら、起業に必要な力の大半は、
座学やインプットでは身につかないからです。

この章では、
なぜ起業家が「実務で覚えること」を重視するのか、
そしてそれが大学生起業において
どれほど強力な武器になるのかを、現実的な視点で解説します。


1. 起業に必要な知識のほとんどは「状況依存」である

起業の世界では、
「これを覚えればOK」という知識はほとんど存在しません。

・相手が誰か
・どんな状況か
・どんな制約があるか

これらによって、
正解は常に変わります。

本や動画で学ぶ知識は、
多くの場合「理想的な条件下」で語られています。

一方、実務では、

・時間が足りない
・予算が限られている
・相手の反応が想定外

こうした制約の中で、
判断し、動かなければなりません。

起業家が実務で覚えることを重視するのは、
現実に即した判断力が、実務の中でしか育たない
と知っているからです。


2. 実務は「知識の正誤」を一瞬で教えてくれる

座学の知識は、
正しいかどうかを判断するのが難しいものです。

・本にはこう書いてある
・動画ではこう言っていた
・成功者はこう言っている

しかし、それが
「今の自分の事業」に合っているかどうかは、
実際にやってみなければ分かりません。

実務に出ると、
知識はすぐに試されます。

・通用した
・通用しなかった
・一部だけ使えた

この結果が、
知識の取捨選択を一気に進めます。

起業家が実務で覚えることを価値だと感じるのは、
無駄な知識を削ぎ落とし、使える知識だけが残る
からです。


3. 実務は「責任」がセットでついてくる

起業における実務の最大の特徴は、
責任が伴うという点です。

・約束した納期
・支払われるお金
・相手の期待

これらを背負った瞬間、
行動の質が大きく変わります。

・調べ方が変わる
・確認の精度が上がる
・判断が慎重になる

同じ内容を学んでいても、
責任があるかどうかで、
吸収率はまったく違います。

起業家が「実務で覚えたことは忘れない」と言う理由は、
感情とセットで記憶に刻まれるからです。


4. 実務は「本当に必要なスキル」を浮き彫りにする

起業前は、
「起業にはたくさんのスキルが必要だ」
と思いがちです。

・マーケティング
・営業
・デザイン
・会計

しかし実務に入ると、
意外な事実に気づきます。

「今、必要なのはこれだけだ」

・相手の話を正確に聞く
・分かりやすく説明する
・約束を守る

こうした基本的な実務力が、
事業を前に進めていることに気づくのです。

起業家が実務で覚えることを大切にするのは、
優先順位が自然と整理されるからでもあります。


5. 実務は「失敗の質」を高めてくれる

起業において、
失敗は避けられません。

しかし、
すべての失敗が価値になるわけではありません。

・原因が分からない失敗
・振り返られない失敗
・行動につながらない失敗

これらは、
ただの消耗で終わってしまいます。

実務での失敗は違います。

・なぜダメだったかが具体的
・次に何を変えるかが明確
・すぐに修正できる

起業家が実務で覚えることに価値を感じるのは、
失敗が「改善データ」に変わるからです。


6. 実務は「判断のスピード」を鍛える

起業の現場では、
正解をじっくり考えている時間はありません。

・今どうするか
・どちらを選ぶか
・やるか、やらないか

実務を重ねるほど、
判断のスピードが上がっていきます。

これは、
「雑になる」という意味ではありません。

・迷うポイントが分かる
・考えるべき点が絞られる
・致命傷を避ける感覚が育つ

この感覚は、
実務の積み重ねでしか身につきません。


7. 大学生起業では「実務経験」が最大の差別化になる

大大学生の起業において、
スキルや実績で勝負するのは正直不利です。

しかし、
実務を経験しているかどうか
は、はっきりと差になります。

・実際にやったことがある
・現場で困ったことを知っている
・失敗した経験がある

これらは、
年齢や肩書きでは埋められない価値です。

大学生起業で評価されるのは、
完璧さではなく、
「現場を知っているかどうか」
なのです。


8. 実務は「自信の正体」を教えてくれる

起業を始めたばかりの頃は、
自信がありません。

・自分で大丈夫か
・ちゃんとできるのか
・評価されるのか

しかし実務を積み重ねると、
自信の正体が変わっていきます。

・やったことがある
・乗り越えた経験がある
・失敗しても立て直せる

この感覚は、
知識量からは生まれません。

起業家が実務で覚えることを大切にするのは、
根拠のある自信が育つからです。


9. 実務で覚えたことは「一生使える」

流行のノウハウやツールは、
数年で使えなくなることがあります。

しかし、実務で覚えた力は違います。

・相手の反応を見る力
・状況を読む力
・現実的に判断する力

これらは、
どんな事業をやっても通用します。

起業家が
「実務こそ最大の教材だ」
と言う理由は、
汎用性が圧倒的に高い
からです。


まとめ:起業家にとって実務は「最高効率の学び」

起業家が実務で覚えることに価値を置く理由は、
精神論ではありません。

・現実に即している
・責任が伴う
・判断力が育つ
・失敗が改善に変わる
・一生使える力になる

これらすべてが、
実務にしか存在しない要素です。

起業において、
学ぶことは大切です。
しかし、
実務を伴わない学びは、起業では半分の価値
しか持ちません。

大大学生の起業において、
完璧な準備は必要ありません。

小さくてもいいから、実務に触れること。
そこから得られる学びは、
どんな教材よりも、
あなたを起業家として成長させてくれます。

起業とは、
学んでから始めるものではありません。

やりながら覚え、
覚えながら前に進むプロセス

そのものなのです。

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Author of this article

大学生の頃の自分は、「いつか何かやりたいな」と思いながらも、何をすればいいか分からず、正直モヤモヤしていました。そんなある日、地元の喫茶店でたまたま車屋の社長と出会ったことが、人生のきっかけになります。
「自分もやってみよう」と思い、21歳のときに車の仕入れと販売をスタート。実家の自分の部屋に電話線を引き、名刺を作り、今思えばかなり手探りで“起業っぽいこと”を始めました。
就活はせずに学生のまま起業を目指しましたが、現実はうまくいかず、卒業後はいったんフリーターに。それでも起業への気持ちは消えず、社会経験を積もうと広告代理店に就職しました。そこで学んだことを活かし、26歳で独立。広告代理店を立ち上げ、今は40代となり会社を経営しています。
このガイドは、昔の自分のように「何かしたいけど分からないことばかり」の学生に向けて作りました。完璧じゃなくていい。一歩踏み出すためのヒントを、ここで伝えていけたらと思っています。

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