〜人との距離感が、ビジネスと人生を守る〜
起業を始めると、人との出会いは一気に増えます。
応援してくれる人、協力を申し出てくれる人、同じ志を持つ仲間。特に大大学生起業家の場合、「ありがたい」「心強い」という気持ちから、つい人との距離を一気に縮めてしまいがちです。
しかし、長く安定して成果を出している起業家ほど、人との距離を意図的に縮めすぎないという共通点を持っています。
それは冷たいからでも、壁を作りたいからでもありません。むしろ逆で、関係性を壊さず、信頼を長く保つための知恵なのです。
距離を縮めすぎると起きる「見えないリスク」
起業初期に距離を縮めすぎると、表面上は良好に見えても、次のようなリスクが静かに積み重なっていきます。
① 役割と感情が混ざり、判断が鈍る
仲良くなりすぎると、「相手の期待を裏切りたくない」「嫌われたくない」という感情が判断に入り込みます。本来はビジネスとして冷静に判断すべき場面でも、感情が優先されてしまうのです。
結果として、無理な条件を受け入れたり、断るべき話を断れなかったりします。
② 境界線が曖昧になり、トラブルが起きやすくなる
距離が近くなるほど、「言わなくても分かるだろう」「これくらい大丈夫だろう」という甘えが生まれます。
契約、報酬、責任範囲といった本来明確にすべき点が曖昧になり、後から認識のズレが表面化します。トラブルの多くは、最初の距離感の近さから生まれます。
③ 自分の時間とエネルギーが削られる
距離を縮めすぎると、相談・雑談・感情の共有が増え、本来集中すべき仕事に使う時間とエネルギーが奪われます。
「人がいい起業家」ほど、この消耗に気づかないまま疲弊していくケースは少なくありません。
起業家にとっての「適切な距離」とは何か
ここで言う距離とは、冷たさでも上下関係でもありません。
目的と役割を明確にした上での、健全な距離感です。
・相手を尊重する
・感謝はしっかり伝える
・でも、依存はしない
・決断は自分で行う
このスタンスを保つことで、相手との関係は長続きします。距離があるからこそ、信頼が生まれる場合も多いのです。
大学生起業家が特に注意すべき距離感の落とし穴
大大学生起業家は、社会経験が少ない分、人との距離感を「好意」や「勢い」で判断しがちです。
・年上の人に可愛がられると断れない
・同世代の仲間と感情で動いてしまう
・応援=無条件の味方だと勘違いする
しかし、ビジネスの世界では、立場や状況が変われば関係性も変わります。距離を縮めすぎると、その変化に対応できず、精神的ダメージを受けやすくなります。
距離を保つことは、相手を守ることでもある
距離を取ることは、自分を守るだけではありません。
実は、相手を守ることにもつながります。
・期待を過剰に背負わせない
・役割以上の責任を負わせない
・感情的な衝突を避けられる
距離があるからこそ、「できること」と「できないこと」を冷静に伝えられます。それは、相手にとっても誠実な対応です。
距離感があるからこそ、プロとして信頼される
起業家として信頼される人は、一定の距離感を保っています。
ベタベタしすぎず、突き放しすぎず、「この人は判断軸を持っている」と感じさせる存在です。
・約束を守る
・感情に流されない
・決断がブレない
こうした姿勢は、結果的に人を引き寄せます。距離を縮めすぎないことは、人間関係の質を高める行為なのです。
距離を縮めるべき「タイミング」は後から来る
大切なのは、距離を縮めないことではありません。
縮めるタイミングを間違えないことです。
信頼は、時間と行動の積み重ねでしか生まれません。
最初から距離を詰めるのではなく、
・実績を積む
・約束を守る
・価値観を確認する
その過程を経た後に距離を縮めるからこそ、強い関係になります。
起業家に必要なのは「近さ」より「健全さ」
起業の道は長く、関わる人も入れ替わっていきます。
その中で自分を守り、相手を尊重し、ビジネスを前に進めるためには、健全な距離感が不可欠です。
距離を縮めすぎないことは、冷静さと誠実さの証です。
それは孤独でも、冷酷でもありません。成熟した起業家の姿勢です。
大大学生という早い段階で、この距離感を身につけておくことは、将来大きな武器になります。
人との距離を意識的に選べる起業家は、長く信頼され、長く生き残ります。
