起業家が自分を安売りしない理由

起業したばかりの大学生が、最初にぶつかりやすい壁の一つが「自分を安く扱ってしまうこと」です。
実績がない。知名度がない。経験が少ない。だから「まずは安くやります」「無料でもやります」と言ってしまう。この気持ちはとても自然です。

しかし、起業において自分を安売りすることは、単なる価格の問題ではありません。
それは、自分の価値の扱い方そのものを決めてしまう行為です。

ここでは、なぜ起業家が自分を安売りしてはいけないのか、その本質を大学生起業家の視点で解説します。


価格は「スキル」ではなく「姿勢」を映す

多くの人は、価格はスキルや実績に比例すると考えます。
しかし現実には、価格はその人の姿勢を映す鏡です。

  • 自分の仕事に自信があるか
  • 相手に価値を届ける覚悟があるか
  • 結果に責任を持つ気があるか

こうした姿勢は、価格設定に如実に表れます。
極端に安い価格は、「この仕事はその程度の価値です」と自分で宣言しているのと同じです。


安い仕事ほど、要求は重くなる

起業初期にありがちな誤解があります。
「安くすれば受注しやすい」「実績が作れる」という考えです。

しかし現実には、安い仕事ほどトラブルが多く、要求が重くなりがちです。

  • 無限に修正を求められる
  • 連絡が雑になる
  • 感謝されない

価格が低いと、相手の本気度も下がります。
結果として、時間とエネルギーだけが消耗し、成長につながらない仕事に追われてしまいます。


一度安い人というレッテルは、簡単には剥がれない

人は最初の印象で、その人の価値を判断します。
「この人は安くやってくれる人」という印象がつくと、その後に価格を上げるのは非常に難しくなります。

  • 以前はこの価格でやってくれた
  • 大学生だから安いと思っていた
  • 他の人はもっと安い

こうした言葉が出てくるようになった時点で、対等な関係は崩れています。
自分を安売りすることは、将来の選択肢を自ら狭める行為でもあるのです。


安売りは「成長の機会」を奪う

安い仕事を大量に抱えると、どうなるか。
考える時間がなくなります。学ぶ余裕がなくなります。改善する余白がなくなります。

起業初期に本当に必要なのは、「量」ではなく「質の高い経験」です。
安売りは、一見経験を積んでいるようで、実は同じレベルの仕事を繰り返しているだけになりがちです。


価格は「相手を選ぶフィルター」でもある

適切な価格設定は、相手を遠ざけるためではありません。
むしろ、良い相手を引き寄せるためのフィルターです。

価格に納得して依頼してくる人は、こちらの時間や専門性を尊重してくれます。
結果として、建設的なやり取りが増え、成果も出やすくなります。


大学生だから安くていい、は幻想である

「大学生だから安くていい」という考えは、相手の都合です。
価値を受け取る側にとって、大学生かどうかは本質ではありません。

  • 課題が解決されるか
  • 時間が短縮されるか
  • 成果につながるか

これが満たされるなら、年齢や肩書きは関係ありません。
自分から大学生という理由で価値を下げる必要はないのです。


自分を安売りしないことは、傲慢ではない

安売りしないと聞くと、「強気すぎる」「傲慢では?」と感じる人もいます。
しかし、適正な価格を提示することは、相手を尊重する行為でもあります。

自分の仕事に責任を持ち、全力で価値を届ける。
その覚悟を示すのが価格です。


価格に迷った時のシンプルな基準

価格設定で迷ったら、次の問いを自分に投げかけてください。

  • この仕事に全力を注げるか
  • この金額で胸を張って提供できるか
  • 相手に価値を出す覚悟があるか

この問いに「はい」と言えない価格は、どこかに無理があります。


長く続く起業家は、自分の価値を自分で決めている

市場に振り回されず、周囲に流されず、自分の価値を自分で定義している起業家は、長く生き残ります。

安売りをしないとは、「高く売る」ことではありません。
「自分を雑に扱わない」ことです。


まとめ:自分を大切にできる人が、選ばれ続ける

起業家が自分を安売りしない理由は明確です。

  • 信頼を守るため
  • 成長の機会を守るため
  • 対等な関係を築くため
  • 長期的に生き残るため

自分を大切にできない人は、他人からも大切にされません。
だからこそ、大大学生の起業においてこそ、最初の価格設定と向き合うことが重要です。

自分の価値を信じること。
それは、起業家としての最初の責任です。

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Author of this article

大学生の頃の自分は、「いつか何かやりたいな」と思いながらも、何をすればいいか分からず、正直モヤモヤしていました。そんなある日、地元の喫茶店でたまたま車屋の社長と出会ったことが、人生のきっかけになります。
「自分もやってみよう」と思い、21歳のときに車の仕入れと販売をスタート。実家の自分の部屋に電話線を引き、名刺を作り、今思えばかなり手探りで“起業っぽいこと”を始めました。
就活はせずに学生のまま起業を目指しましたが、現実はうまくいかず、卒業後はいったんフリーターに。それでも起業への気持ちは消えず、社会経験を積もうと広告代理店に就職しました。そこで学んだことを活かし、26歳で独立。広告代理店を立ち上げ、今は40代となり会社を経営しています。
このガイドは、昔の自分のように「何かしたいけど分からないことばかり」の学生に向けて作りました。完璧じゃなくていい。一歩踏み出すためのヒントを、ここで伝えていけたらと思っています。

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