起業を目指すと、多くの人が「自由そう」「楽しそう」「やりがいがありそう」といったイメージを持ちます。特に大大学生にとっては、「会社に縛られない働き方」や「若いうちから挑戦すること」そのものが魅力的に映るでしょう。
しかし、実際に起業の一歩を踏み出した人の多くが、必ず一度は「もう全部やめたい」と思う瞬間に直面します。これは才能がないからでも、向いていないからでもありません。むしろ、真剣に取り組んでいる証拠です。
成果が出ない現実に直面したとき
起業初期で最も多いのが、「想像以上に成果が出ない」という現実にぶつかった瞬間です。
SNSを毎日更新しても反応がない。
ホームページを作ったのにアクセスが増えない。
勇気を出して営業しても断られる。
頭では「すぐに結果が出ないのは当たり前」と理解していても、心は別です。周囲の同級生は就職活動を進め、内定をもらい、安定した未来へ進んでいく。その一方で、自分は何者でもないまま時間だけが過ぎていく。
このギャップが、「自分は間違った選択をしたのではないか」という不安を生み、「もうやめた方が楽なのでは」という思考につながっていきます。
誰にも理解されない孤独を感じたとき
大学生起業では、孤独感が一気に押し寄せる瞬間があります。
家族からは「ちゃんと就職した方がいいんじゃない?」と言われ、友人からは「すごいね」と言われつつも、どこか他人事の反応。
本音や不安を打ち明けられる相手がいない状態が続くと、「自分は一人で何をやっているんだろう」と思い始めます。
特に、成果が出ていない時期は、応援の言葉すらプレッシャーに感じることがあります。
「頑張ってるね」という言葉が、「まだ結果出てないよね?」と聞こえてしまう。
この精神的な孤独が、起業家の心を静かに削っていきます。
お金の不安が現実になったとき
起業において、お金の問題は避けて通れません。
大学生起業の場合、収入がほぼゼロの期間が続くことも珍しくありません。
貯金が減っていく、アルバイトと起業の両立で体力が削られる、「このまま続けて大丈夫なのか」という現実的な不安が頭を支配します。
お金の不安は、判断力を鈍らせます。
本来なら冷静に考えられることも、「失敗したらどうしよう」という恐怖で動けなくなる。
この状態が続くと、「一度リセットして普通に生きた方がいいのでは」という思考が浮かびやすくなります。
自分の無力さを突きつけられたとき
起業を始めると、自分の未熟さが容赦なく露呈します。
営業力がない。
文章が書けない。
数字が理解できない。
人を動かせない。
これまで大学生生活では見えなかった弱点が、一気に表面化します。
努力しているのにうまくいかないと、「自分は何もできない人間なのでは」と自己否定に陥りやすくなります。
この瞬間こそ、多くの起業家が「もう全部やめたい」と思う最大のポイントです。
周りと比べてしまったとき
SNSやネットを見れば、若くして成功している起業家が目に入ります。
「月収100万円達成」「大学生起業で成功」などの言葉を見るたびに、自分との差を意識してしまう。
比べるつもりがなくても、無意識に心が削られていきます。
しかし、見えているのは“結果の一部”であって、その裏側の失敗や停滞期はほとんど語られていません。
それでも人は、他人のハイライトと自分の現実を比べてしまい、「自分には無理だ」と結論づけてしまいます。
「やめたくなる」は正常なサイン
ここで大切なのは、「やめたくなる瞬間が来ること自体は異常ではない」という事実です。
むしろ、何も感じずに淡々と進める人の方が少数派です。
本気で考え、悩み、向き合っているからこそ、苦しくなります。
多くの起業家は、この「全部やめたい」と思う瞬間を何度も経験しています。
そのたびに、やめるか、少し休むか、やり方を変えるかを選択しながら前に進んでいます。
乗り越えるために必要な視点
この瞬間を乗り越えるために必要なのは、「続ける根性」ではありません。
必要なのは、視点の切り替えです。
・今は結果を出すフェーズではなく、経験を積むフェーズだと理解する
・他人と比べるのをやめ、昨日の自分と比べる
・「全部やめる」ではなく、「一部をやめる」「やり方を変える」という選択肢を持つ
起業は一本道ではありません。立ち止まってもいいし、遠回りしてもいい。
やめたくなった瞬間は、「失敗」ではなく「調整のタイミング」です。
やめたくなった先にしか見えない景色がある
不思議なことに、この「全部やめたい」と思う瞬間を越えた先で、少しずつ景色が変わり始めます。
小さな成果が出る。
理解してくれる人が現れる。
自分なりのペースが見えてくる。
起業家として成長する過程には、必ずこの谷があります。
だからこそ、今つらいと感じているあなたは、すでに「起業家としての道」を歩いています。
やめたくなるほど本気になれたこと自体が、あなたの強さです。
この瞬間をどう扱うかが、その後の未来を大きく分けていきます。
