損益計算書と貸借対照表の関係
― 起業家がお金の流れを“立体的に”理解するための基本 ―
「損益計算書はなんとなく分かるけど、貸借対照表はよく分からない」
「この2つ、どう関係してるの?」
「正直、どっちを見ればいいの?」
20代学生が起業を考え始めると、
ほぼ確実にここで混乱する。
でも結論から言うと、
損益計算書と貸借対照表は、必ずセットで理解すべきもの。
どちらか一方だけを見て起業するのは、
スピードメーターだけ見て車を運転するようなもの。
まず結論:この2つは「役割」が違う
最初に役割をはっきりさせよう。
損益計算書(P/L)
→ 一定期間で、どれだけ儲かったかを見る表
貸借対照表(B/S)
→ 今この瞬間、どれだけお金や資産が残っているかを見る表
この2つは
「時間軸」が違う。
時間の考え方が理解のカギ
ここが分かると、一気に楽になる。
損益計算書は「映画」
・1ヶ月
・3ヶ月
・1年
といった期間のストーリーを見る。
貸借対照表は「写真」
・ある一瞬を切り取ったスナップショット。
起業では、
「映画(損益)」と「写真(残高)」
両方を見ないと判断を間違える。
損益計算書の役割をおさらい
損益計算書は、
ビジネスの結果を見る表。
・売上はいくらか
・経費はいくらか
・最終的に利益はいくらか
起業初期の学生にとっては、
「自分のビジネスは成り立っているか?」
を確認するための成績表。
でも、
ここに大きな落とし穴がある。
「利益が出ている=安心」ではない
起業初心者が一番やりがちな勘違い。
✔ 利益が出ている
✔ 黒字になった
✔ 成功している
これは半分正解で、半分危険。
なぜなら、
損益計算書は
「儲かったか」を示すだけで、
「お金があるか」は教えてくれない。
ここで登場するのが貸借対照表。
貸借対照表の役割
貸借対照表は、
お金の全体像を見る表。
・現金はいくらあるか
・まだ入っていないお金はいくらか
・支払わなければいけないお金はいくらか
つまり、
起業の体力測定。
学生起業は資金が少ない分、
この体力を見誤ると一気に詰む。
この2つはどうつながっているのか?
ここが本題。
結論から言うと、
損益計算書の「利益」は、最終的に貸借対照表に反映される。
でも、
そのまま現金になるとは限らない。
利益がどうやって貸借対照表に入るか
ざっくり流れを追ってみよう。
- 損益計算書で利益が出る
- その利益は「純資産」として蓄積される
- 貸借対照表の右側(純資産)が増える
つまり、利益=将来の財産の元。
でもここで注意。
利益が出ても現金が増えない理由
学生起業でよくある例。
・売上は立った
・利益も出ている
・でも、口座残高が増えていない
これはなぜか?
理由はシンプル。
・売掛金(まだ回収していないお金)がある
・経費の支払いが先に来ている
つまり、
✔ 損益計算書:プラス
✔ 貸借対照表:現金が少ない
このズレが起きる。
売掛金があると何が起きる?
売掛金とは、
売上として計上したけど、まだ入ってきていないお金。
損益計算書では
→ 売上・利益としてカウントされる。
貸借対照表では
→ 「資産」だけど現金ではない。
ここを理解していないと、「儲かってるはずなのに、なんでお金がない?」
という状態に陥る。
経費の支払いタイミングもズレを生む
例えば、
・広告費
・外注費
・ツール代
これらは、先に支払うことが多い。
損益計算書では
→ 期間で計算する。
貸借対照表では
→ 今、現金が減る。
この違いが、資金繰りの不安を生む。
起業で本当に怖いのは「損」ではない
ここはかなり重要。
起業で一番怖いのは、赤字よりも現金がなくなること。
・利益が少なくても
・赤字でも
現金があれば、立て直せる。
でも、黒字でも現金がなければ、終了。
この判断は、損益計算書だけではできない。
正しい見方:2つを同時に見る
起業家として正しい判断はこう。
- 損益計算書で
→ このビジネスは儲かる構造か? - 貸借対照表で
→ 今、続けられる体力があるか?
この2つをセットで見る。
学生起業でよくある失敗パターン
・売上だけを追いかける
・利益が出たら安心する
・残高を確認しない
この結果、
・支払いができない
・チャンスに動けない
・精神的に追い込まれる
こうなる。
完璧に理解する必要はない
安心してほしい。学生起業に必要なのは、会計のプロ知識ではない。
最低限これだけ分かればOK。
・利益=すぐ使えるお金ではない
・損益は「結果」
・貸借は「現状」
・両方見ないと判断できない
この2つが分かると起業が安定する
損益計算書と貸借対照表をセットで理解すると、
・お金の不安が減る
・無理な挑戦をしなくなる
・判断が冷静になる
起業は「勢い」ではなく継続できた人が勝つ世界。
まとめ:損益と貸借は「現在と過去をつなぐ」
損益計算書と貸借対照表の関係は、
✔ 損益計算書 → 過去〜現在の成果
✔ 貸借対照表 → 今この瞬間の体力
そして、
損益で生まれた利益は、
貸借対照表に積み上がっていく。
どちらか一方を見るのではなく、
必ずセットで見ること。
これができるようになると、
起業は
「不安な賭け」ではなく
コントロールできる挑戦に変わる。
学生のうちに
この視点を持てたら、
それだけで一歩リードしている。
