いきなり会社を作らなくていい理由
20代学生が起業を考えたとき、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが
「起業するなら、まず会社を作らなきゃいけないんじゃないか?」
という発想です。
しかし結論から言います。
学生が起業するとき、いきなり会社を作る必要はまったくありません。
むしろ、多くの場合「作らない方が成功確率は高い」です。
これは精神論ではなく、現実に数多くの起業家を見てきた中での、極めて実務的な結論です。
このページでは、なぜ学生起業において「最初に法人化しない方がいいのか」を、
お金・リスク・スピード・成長の観点から体系的に解説します。
1. 会社設立=起業のスタート、という勘違い
まず、根本的な勘違いがあります。
多くの学生がこう考えます。
- 起業=会社を作ること
- 会社がないとビジネスができない
- 法人じゃないと信用されない
しかし、これはすべて間違いです。
起業の本質は、
「価値を提供し、対価を得る仕組みを作ること」
であって、会社を作ることではありません。
極端に言えば、
- メルカリで物を売る
- デザインを受注する
- SNS運用を代行する
これらも立派なビジネスです。
会社がなくても、すでに“起業行為”は始まっています。
会社設立はゴールではなく、**成長段階で使う“道具”**にすぎません。
2. 学生起業で最優先すべきは「生き残ること」
起業初期でもっとも重要な目標は、成功することではありません。
生き残ることです。
なぜなら、起業は続けていれば学習が進み、成功確率が上がるからです。
逆に、一度大きく失敗すると、資金・信用・精神面を一気に失い、再挑戦が難しくなります。
いきなり会社を作ることは、この「生存率」を大きく下げます。
3. 会社を作ると固定費と義務が一気に増える
法人化した瞬間から、個人にはなかった負担が発生します。
① お金の負担
- 設立費用:20万〜30万円前後
- 税理士費用:月1〜2万円
- 法人住民税:赤字でも年7万円前後
売上ゼロでも、何もしなくてもお金が出ていく状態になります。
学生にとってこの固定費は致命的です。
ビジネスの実験に使うべきお金が、維持費に消えていきます。
② 事務負担・手続きの増加
法人になると、次のような義務が発生します。
- 決算書の作成
- 税務申告
- 社会保険の手続き
- 各種届出
これらはビジネスを成長させる行為ではありません。
ただの管理コストです。
学生起業の最大の武器は「行動スピード」です。
法人化は、このスピードを大きく鈍らせます。
4. ビジネスが当たるか分からない段階での法人化は危険
起業初期は、ほぼ100%こうなります。
- 最初のアイデアはズレている
- 途中で方向転換する
- 何度も試行錯誤する
つまり、最初に考えたビジネスは高確率で修正されます。
この状態で会社を作るとどうなるか。
- 事業内容を変えにくくなる
- 失敗を認めづらくなる
- 「せっかく作った会社だから」と撤退できなくなる
これは典型的な“サンクコストの罠”です。
会社を作った瞬間、心理的にも金銭的にも引き返しにくくなるのです。
5. 個人の方が圧倒的に「試行錯誤」しやすい
起業初期に最も大切なのは、次のサイクルです。
仮説 → 実行 → 失敗 → 修正 → 再挑戦
この回転数が速い人ほど、成功に近づきます。
個人で始めるメリットは明確です。
- すぐ始められる
- すぐやめられる
- すぐ変えられる
法人化すると、これがすべて重くなります。
学生起業は、実験フェーズです。
この段階で必要なのは、立派な会社ではなく、軽やかに動ける身軽さです。
6. 「法人じゃないと信用されない」はほぼ幻想
確かに大企業相手の取引では法人が必要な場面もあります。
しかし、学生起業の初期顧客は、
- 個人
- 小規模事業者
- スタートアップ
がほとんどです。
この層が見るのは、
- 会社があるかどうか
ではなく - 本当に役に立つかどうか
です。
実際、
- フリーランスのデザイナー
- 個人のSNS運用代行
- 個人の動画編集者
法人でなくても、普通に仕事を受注しています。
信用は「法人格」ではなく、実績と対応力で決まります。
7. 学生にとって最大の資産は「時間」と「柔軟性」
学生起業家が社会人より圧倒的に有利な点は2つあります。
- 失敗してもやり直せる時間がある
- 身軽に方向転換できる
この強みを最大化するには、
重たい法人という鎧を着るべきではありません。
個人で始めることで、
- 小さく試す
- 早く学ぶ
- 何度でも作り直す
という理想的な成長ループが回せます。
8. では、いつ会社を作るべきなのか?
結論はシンプルです。
次の条件が揃ってからで十分です。
- 毎月安定して売上が立っている
- 事業モデルが固まっている
- 節税・信用・資金調達のメリットが出てくる
この段階で法人化すれば、会社は足かせではなく、加速装置になります。
順番が重要なのです。
9. 正しい順番は「個人で0→1 → 法人で1→10」
学生起業の王道ルートはこうです。
- 個人で小さく始める
- 最初の売上を作る
- 事業モデルを磨く
- 安定してきたら法人化する
この順番なら、
- リスク最小
- 学習効率最大
- 失敗しても再挑戦可能
という、最も成功確率の高い道になります。
まとめ|会社は「作りたいから作る」ものではない
いきなり会社を作らなくていい理由を整理します。
- 起業の本質は会社設立ではない
- 法人化は固定費と義務を一気に増やす
- 方向転換しにくくなる
- 学生の強みであるスピードと柔軟性を殺す
- 信用は会社ではなく実績で決まる
会社は、夢のスタートラインではありません。
**事業が育った後に使う“道具”**です。
だからこそ、20代学生の起業はこう考えてください。
「まずは個人で、小さく、軽く、早く始める」
この戦略こそが、最も堅実で、最も成功に近いルートです。
